INTERVIEW

社員を知る

INTERVIEW #4

2025年からゲーム配信者とのパートナーシップ事業に取り組んでいるスパイク・チュンソフト。
業界でもユニークな配信者を“ファン”として積極的に支援する取り組みについて聞いてみました。

取材したのは
▶スパチュン・パートナーズ担当者:高津 弘樹(たかつ ひろき)/マーケティングGrp パブリシティSec マネージャー

他社にないユニークな取り組み。ファンと共に歩む戦略が詰まった「スパチュン・パートナーズ」について【聞いてみた】

『ダンガンロンパ』をはじめとして、ファンを熱狂させるゲームづくりにこだわっているスパイク・チュンソフトですが、実は昨年(2025年)からゲーム配信者とのパートナーシップ事業にも取り組んでいます。ゲーム配信・実況を許諾するメーカーは増えている一方で、配信者を“ファン”として積極的に支援する取り組みは業界でも非常にユニーク。他社には真似できない、独自のコミュニティ戦略を深掘りしました!

【スパチュン・パートナーズとは?(公式HPより)】

「『スパチュン・パートナーズ』(SCPS)は、日頃からスパイク・チュンソフトのゲームプレイ実況を積極的に投稿してくれている動画配信者の皆さまに対し、その活動を当社からも様々な形でサポートして、よりいっそう関係を深めたい思いから立ち上げた認定制のファンコミュニティです。『SCPS』メンバーには、様々な特典をご用意いたします」

▶詳しくはこちら:スパチュン・パートナーズ

インフルエンサーマーケティングではなく「ファンダムマーケティング」

――本日は、他社にはあまり見られない独自の取り組みである「スパチュン・パートナーズ」についてお伺いします。御社のゲームはネタバレ禁止の制限があるものも多い中、あえて配信者と協力するこのサービスをどのような意図で立ち上げられたのでしょうか。

高津

はい。配信者の方を集めて自社のゲームを配信してもらうというと、インフルエンサーマーケティングの一環と思われがちですが、実はそうではありません。「スパチュン・パートナーズ」は「ファンダムマーケティング」の視点で設計しているサービスです。

日頃から当社のゲームを楽しく遊ばれ、積極的に動画投稿してくれているファンの方々を集めて、喜んでいただけるサービスやインセンティブをご提供することで、皆さんにゲーム愛を深めてほしいと思っています。その先にはより配信機会も増えるでしょうし、それに応じて視聴してくださる方も増えるので、結果として当社のゲームの認知が広まっていくことになると考えています。

高津

そういう設計なので、当社のゲームの魅力をすでにわかっている方しかスパチュン・パートナーズにはいません。熱心なファンでもあるメンバーの皆さんは、自主的にネタバレを出さないように配慮しつつ、ご自身が感じた衝撃や感動を「他の人にも味わってほしい」という気持ちで配信してくださいます。そういった「当社のファンの方たち」にお任せしているので、こちらとしても安心できますし、配信する側も視聴する側も楽しんでくださっているんじゃないかなと思っています。

――パートナーの選定基準について教えてください。特定のソフトを熱心に配信している方を選んでいる印象がありますが、いかがでしょうか。

高津

おっしゃる通りです。どれだけ当社のゲームが好きか、そしてどれだけ配信活動に情熱を傾けていらっしゃるか、という部分を重視しています。単にチャンネル登録者数の多さだけを見ているわけではありません。

応募条件として「チャンネル登録者数1,000人以上」や「直近の半年で30本以上の動画投稿」といった数字を掲げていますが、これは数字そのものが目的ではありません。そのラインは気軽に始めたレベルでは到達しない数字ですから、そこまで継続して活動できる“情熱”の指標として設定しています。

本気度を測るための応募条件

ファン一人ひとりと向き合う、丁寧なコミュニケーション

――現在、取り組みを始められて約1年になりますが、反響や効果はいかがですか。

高津

2024年末から1期生の募集を始め、2025年春に追加募集を1回行いましたが、現在(※2026年2月)は合計で107名の方に参加していただいています。新作ゲームの配信キャンペーンを行ったり、特別な配信を許諾したり、配信動画のまとめページをつくって公開したり、当社が関わるイベントにご招待したりなど、10種以上の企画を実施しました。

このプログラムを始める前と比べると、当社ゲームの配信・動画やSNS投稿、特にファン視点の好意的な発信は明らかに増加しています。企画を呼びかけると、1企画当たり10~30人にご協力いただけます。業界的にもあまり例のない取り組みとして、メーカーさんやメディアからも注目されていると感じますね。

「当社のゲーム愛を深めていただく」という観点では、メンバーとの距離感を大切にしています。ゲームメーカー相手となると距離を感じられる方もいらっしゃるのですが、パートナーズのメンバーとはメールやDMで密にコミュニケーションをとるように心掛けています。かなり近い距離でお話しさせてもらっていますが、みなさん喜んでくださっていると信じたいです(笑)

――応募や採用の状況、また運営面での苦労についてもお聞かせください。

高津

基本的には、条件を満たす方には、人数の上限を設けず全員採用したいと考えています。そのため、チャンネルや動画の内容についてコンプライアンスや公序良俗、当社が定めるガイドラインの観点で懸念がある場合は、不採用にするのではなく審査を保留にします。そして、ご本人に直接「この部分を改善していただければ採用を検討しますが、今のままであれば保留とさせていただきます」とお伝えして、最終的にはご本人の意思にお任せしています。応募者全員にお返事することで、結果に納得感を持っていただけるようにしています。たとえメンバーにはなれなくても、当社のファンでいてほしいですから。

この運営方法は、他メーカーさんではなかなかやりにくい部分ではないかと思います。大勢の個人のお客様と接することはコミュニケーションリスクが高いですし、ノウハウの確立が難しい取り組みです。当社では一人ひとりと近い距離でお話しし、ビジネスライクではない「ファンとの交流」という軸を持つことと、現状私一人で対応している点で、うまく運営できているのかなと思います。

2025年12月~2026年2月に実施された第2期メンバーの募集

――このプロジェクトはいつ頃から構想されていたのでしょうか。

高津

私個人の構想としては3、4年前から持っていました。私は法人系インフルエンサーさんの対応をずっとやっていますが、個人勢の持つ力も非常に強いものがあると感じていて、そこに門戸を開く仕組みがあったほうが良いとは思っていました。ただ、実現までのハードルは高そうですし、自分の負担増も想像できたので「気持ちだけ」にとどめていたんですね。

そんな折、2024年に新しい上司を迎え、話をする中で同じ気持ちを持っていらっしゃったので、後ろ盾を得た気持ちで2024年の秋頃に企画を起こしました。あまり時間をかけると気持ちの勢いがなくなると思ったので、なるべくスモールスタートで早く形にしようと2カ月ほどで準備しました。

配信文化の定着とスパチュン・パートナーズの未来

――近年、ゲーム実況や配信の文化は急激にメインストリームへと変化していますが、メーカーや高津さん個人としてどう感じられていますか。

高津

配信者の方は本当に増えましたよね。YouTubeやニコニコ動画、Twitch以外にも数多の場が生まれ、プラットフォーム側の収益プログラムも洗練され、2Dモデル・3Dモデルを個人レベルでも用意できるようになり、昔より格段に気軽に手を出せるようになりました。

また、メーカー側の意識も変わってきています。当初は自社の著作物を守るとか、配信で見て満足したら買わないんじゃないかと不安視される風潮が強かったと思いますが…ここまで配信文化が育ってきて、プロモーション的にも動画視聴というものが大きな立ち位置を占めるようになりました。それをメーカー側が評価してきており、著作物の利用もガイドラインを定めて促進するところが出てきて、配信者には非常にやりやすい環境になっていると思います。

一方で配信者が増えたことによる苦労も多いかとは思いますが…。趣味としてやられている方もいれば、収益化して本気で頑張ろうという方もいる。配信への向き合い方が多様になってきたとは感じています。ただ総じて、ゲーム配信が日常的なコンテンツになったというのは非常に良いことだなと思いますね。

スパイク・チュンソフトでも公式サイトで配信ガイドラインを定めている

――最後に、今後パートナーズのメンバーとやってみたいことはありますか?

高津

イベントで直接お話しした時などにいただいたご意見として、パートナーズ内で配信者同士の交流ができたら嬉しいというのがありました。マルチプレイ型のオンラインゲームであれば、メンバー向けの専用サーバーを一つ用意して、そこで自由に配信ができたりコラボも自由にできるかなとは考えています。『風来のシレン』でRTA(リアルタイムアタック)などのイベントもいいですね。あとはたくさん色々なお話しをするためのオフ会とか…そういった取り組みをひとつひとつやっていきたいですね。

――本日は貴重なお話をありがとうございました!

出典:KADOKAWAグループ社内報「K-net」


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