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旅立ちの言葉黒部鉄郎投稿者 : オニカマス 親愛なる松本先生 突然のお便りにさぞかし驚かれたと思います。 坂本先生の代理として先生がサクラ中学にいらしたときのことを覚えていますでしょうか。あのときの黒部鉄郎です。(鉄道マニアの鉄ちゃんと言えば思い出して頂けますでしょうか) 先日、先生が新幹線にお乗りになったときぼくに気がついたと思います。先生は生徒たちを引率されていましたね。あのとき検札にやって来た車掌はぼくです。その節は大変失礼致しました。 ぼくは憧れだった鉄道会社に入ることができました。それは先生のお陰だと思っています。 先生は常に個性を伸ばせと言ってましたね。でも内気なぼくなど個性なんてないと思ってました。でもそんなぼくに「目立たなくたっていいじゃないか。好きなことにのめり込めるのも立派な個性だ」と言ってくれましたね。 ぼくはその言葉を信じました。だからあの日以来好きな鉄道を目指そうとこころに決めたのです。 今の会社に入れたのも面接のときのスピーチが決め手でした。 学生時代に全国すべての廃線巡りのひとり旅をしたことが好印象となったと後日聞かされました(口べただったぼくですが今ではどうにか人並みに話せるようになりました。ちょっと自信がついたのかもしれません)。 切符を拝見したとき先生がぼくの顔と名札を見ていることに気がついていました。そのときぼくはよっぽど声をおかけしようと思いました。 けど、できませんでした。 でも先生は無言で笑顔を見せてくれましたね。ぼくは今の姿をお見せできてとても嬉しかったです。 ぼくは車掌です。 車掌はすべてのお客様に平等でなければなりません。「目立たない個性」こそが車掌の務めでありぼくの個性だと思っています。 あのときの先生の笑顔はそのことをわかってくれたのだと思っています。 |
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卒業数年後のエピソードです。