わらべ唄

三日月島へやってくる船の上で、船頭が教えてくれた一つの「わらべ唄」があった。島独特のもので、江戸時代から唄われ続けてきたという。
その独特な調べに興味をもった透は、軽い気持ちでわらべ唄の詩をメモにとっていた。
    底蟲村の 女郎蜘蛛
    嫌じゃ嫌じゃと 泣いてござる
    なにが嫌じゃと 狐コきけば
    悪たれ鼬(いたち)の ふうのしんに
    手脚もがれて 散歩ができぬ
    それが嫌じゃと 泣いてござる
    びゅうびゅうびゅうの ざんぶらぶん
    びゅうびゅうびゅうの ざんぶらぶん
嵐の中、閉ざされた館で、悲劇は起きた。
つい先ほどまでごく普通に会話していた客の一人が、無惨な死体となって発見されたのだ。
死体を見下ろした真理が「わらべうた‥」とぽつりともらす。不自然な傷跡の残る遺体は、どこか船頭に聞いた「わらべ唄」と符号するところがあった。

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