岸猿家

外観と同じく屋敷内はどこか重く、所々に昔の面影も残っていた。
入口に広がるロビー正面には「三日月館」の絵画があり、すぐ脇にある扉はその昔、監獄の「受付」として使われた部屋だそうだ。
廊下には未だ鉄格子が存在し、訪れる者へ威圧感を与えていている。

そもそもこの屋敷を建てたのは、土地の旧家「岸猿家」という一族らしい。
岸猿家は大変な財産家であったが、何百人と雇った奉公人をまるで奴隷のようにこき使い、反抗したり脱走しようとした者たちを捕らえては、投獄してさらにひどい仕打ちをしたと言う。
監獄で命を落とした奉公人は数知れない。
しかしそんな岸猿家も、昭和に入ってからは没落の一途を辿った。
一族に数々の不幸が続き、当主自身も島の岸壁から身を投げ、自らの命を絶ってしまったのだ。人々は、獄死した奉公人の祟りだと噂した。

そして、岸猿家の血筋は途絶えた。

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GameImage/岸猿家家紋 GameImage/岸猿家当主