2011年12月某日
スケジュール帳を開き、今日の日付を確認すると 「チュンソフト13:00~ 打越氏取材」とある──。
これが予定通りに行けばいいのだが…どうせまた『Mr.ZERO』が現れるのであろう。
しかし私は『Mr.ZERO』の正体は打越鋼太郎本人であるという確信を持っている。
なぜ、打越氏はそんなまわりくどい事をするのだろうか?
──そうだ。今日こそマスクに隠された人物の素顔を暴いてやろう。マスクを外せばそれが打越氏であることは明らかなのだ。私はため息を飲み込み、顏を叩いて気合いをいれた。
その次の瞬間、コンコンとノックがなった。
現れたMr.ZERO氏
編:ちょっ… 明らかに人が違くないですか??
ゼロ:わ、私はMr.ZEROです…。(小声)
編:え?小声で聞き取れませんよ! あの、すみませんがさすがに、打越さんでもなく、いつものMr.ZEROさんでもない人だと、困るんですけど…。
ゼロ:私はMr.ZEROです…。
編:・・・・・・。
ゼロ:・・・・・・。
むしろこちらが気の毒になってしまうほどの代打感。
とその時、
ドアの奥から:ちょっと、ちょっと!
ドアの奥から:(ひそひそ声)ごめんごめん、もう大丈夫だから、来てきて!
ゼロ:(ひそひそ声)もう、遅いじゃないですか!
ドアの奥から:ごめんって。ほら早くマスク!
ドアの影から呼ばれるZERO氏。
ゼロ:や~どうもどうも。
編:………いや、打越さん、それはあまりにも雑すぎ....
ゼロ:私はMr.ZEROである。
なんとなくそれっぽいポーズを決めだすZERO氏(オリジナル)。
彼なりにごまかしているつもりのようだ。
編:じゃあ気を取り直して質問にはいります。
キャラクターデザインの西村キヌさんには、伝統的に?キャラクターの設定をあまり伝えずにキャラクターを描きはじめてもらう…と聞きましたが、このやり方には何かねらいがあるのでしょうか?
ゼロ:いやいやいやいやイヤサカ音頭。打越のキャラ設定はかなり詳しいほうだと聞いているぞ。 ここに999企画立案時に書いたボツキャラ用のキャラ設定がある。一読願いたい。
★のんびりふわふわぽかぽか少女
・氏名:結衣(超仮名)
・性別:女子
・年齢:10歳ぐらい
・職業:小学4年生
・相貌:幼い。あどけない。いとけない。のんびりふわふわぽかぽか顔。見ているだけで心が和む。
1000%癒し系。
・体型:そこはかとなくぽっちゃり風味。
・髪型:ありがちだけどツインテール?(お団子ありかも)
・服装:黄色いワンピとか。
・性格:温厚。穏やか。柔和。のほほんとしている。ほのぼのとしている。争い事が大嫌い。平和大好き。
エコ大好き。動物大好き。捕鯨反対。
みんなで話し合いをすれば、世界中の人たちが仲良くなれると信じている
。
そんな子どもならではの理想論を熱く語ることもあるが、基本的にはおっとりしていて、まったりしていて、もっさりしている。
動作は概してトロい。鈍い。反応速度も遅く、物忘れが激しい。ランドセルを忘れて登校したことがある。もう小4なのに校舎で迷子になったことある。給食を食べ終わるまでに1時間はかかる。そのうちの45分は、チキンライスに入ったグリンピースをよける作業に費やされる。空想癖があり、授業中は空を眺めながらぽけーっとしていることが多い。
しばしば幻覚を見る。妖精を見たことがあると言ってはばからない。サンタクロースの存在を信じている。月の裏側にはUFOの発進基地があると思っている。ブッシュ大統領は爬虫類型の宇宙人だ。プレスリーはブラジルで生きている。デーブ○ペクターはCIAのエージェントで、電磁波兵器を操っている。びびびびっ。将来はスピリチュアルカウンセラーになりたい。パワーストーンを百個持っている。世界に愛と平和を! ラブ&ピース! ラブ&ピース! わあーっ。そんな……愉快な少女だ。
・知力:小4にしては賢い。
・体力:50m走30秒。水泳は5mケノビがやっと。体育の授業がドッジボールだと急にお腹が痛くなる。ポートボールではいつもゴール役。鉄棒は前まわりもできない。跳び箱ではロイター板につまづく。スキップができない。反復横飛びって何ですか? そんな自分を「ちょっと可愛いな」と思っている。
・好き:オカルト全般
・嫌い:プラズマ博士
ゼロ:というわけで、キャラ設定についてはしっかりと伝えているようだぞ。もちろんネタバレも込みでだ。
ただ、執筆中にそのネタバレの部分が大幅に変更されていくということはあるみたいだな。キャラデザのキヌさんがプレイ中に「えっ、こいつこんなキャラだったの!?」と驚かれるのはそのためで、もしかしたらそのことが原因となって「設定を伝えていないのでは?」と曲解されてしまったのかもしれんな。
編:できあがった今回のキャラクターたちの感想はいかがですか?
ゼロ:完璧だよ。
大きさといい、形といい、弾力を感じさせる質感といい、まさに時速60kmで走っている車の窓から――
編:またおっぱいの話ですか! しかもそれってアリス限定ですよね!
ゼロ:も、もちろん他のキャラクターたちも秀逸だよ。打越のデスクの前には全キャラの集合絵が貼ってあるのだが、それが完成したとき、彼は思わず椅子から立ち上がってガッツポーズをしたそうだ。そしてこんなふうに叫んだと言う。「よし、これならいける!」とね。
どうだろう? 語らずとも、見ているだけで物語を感じさせるキャラクターたちだと思わないかね?
なにかが起こりそうな、わくわくと胸がときめくような、そんな予感を抱かせる絵じゃないか。
キヌさんの描く絵には魂がこもっているのだ。生きているのだよ。静止画なのに息づかいを感じる。フキダシもないのに今にもしゃべり出しそうだ。
キヌさんは、そんなキャラデザができる日本でも数少ない絵師のうちのひとりだと私は思っている。本当に素晴らしい絵描きさんだよ。
編:キャラクター発注時のキヌさんとのエピソードなど、その他ありましたらお願いします。
ゼロ:キヌさんのキャラデザからインスピレーションを受けて、逆に物語をふくらませていった部分もあると聞いている。
たとえばルナが首からぶらさげている鳥カゴ。あれはオルゴールになっていて、カゴの中には青い鳥がいるのだが、これを使わない手はないと思ってね。物語の主要なガジェットのうちのひとつとして、盛り込ませていただくことにしたそうだ。
他にも「クォークの帽子の中にはなにが入っているのか」とか。詳しくは本編の中に【隠しアーカイブ】という項目があるので、そちらを参照してもらいたい。
編:キャラデザのイラストから、ストーリーに絡んでいくアイテムが誕生するって、面白いですね!
編:「善人シボウデス」で、好きなキャラクターとその理由を教えてください。
ゼロ:それを私に聞くのかね?そんなもの決まっているだろう。この私――ゼロをおいて他にはいない。おそらく打越も同じように答えるのではないかな。
おっぱいについて図解入りで解説が
始まりそうになったので、とっとと
取材を終わらせた編集であった。
編:ちなみに前作の好きなキャラクターは?
ゼロ:八代だ。理由はおっぱいが大きいから。
編:…………。