




対戦格闘ゲームの雄『ストリートファイター6』と、サウンドノベル『かまいたちの夜』がスペシャルコラボを実施しました。
10/15(水)より『ストリートファイター6』内のモード「バトルハブ」の内装が『かまいたちの夜』仕様に変更され、「ワールドツアー」モード内で専用のコラボミッションが遊べるようになりました。さらに、アバター装備、称号、フォトフレームが配布され、フォトモードにエフェクトも追加されます。
このたび、カプコン社の多大なるご協力のもと、『かまいたちの夜』シナリオ原作者の我孫子武丸氏にコラボミッションを体験していただく機会が得られ、大阪のカプコン本社にて先行体験会&関係者座談会を行いました。ここではその座談会の模様をレポートします。


対談参加メンバー




『かまいたちの夜』
シナリオ原作
我孫子武丸氏



『ストリートファイター6』
プロデューサー
松本脩平氏
(カプコン)



『ストリートファイター6』
ディレクター
中山貴之氏
(カプコン)



「かま」コラボ シナリオ担当
池原実氏
(カプコン)



「かま」コラボ プランナー担当
相良祐助氏
(カプコン)



「かま」コラボ プランナー担当
中西舞音氏
(カプコン)



「かま」コラボ プランナー担当
植木蒼馬氏
(カプコン)



「かま」コラボ プランナー担当
皇城義希氏
(カプコン)



『かまいたちの夜』
プロジェクトマネージャー
篠崎朋也氏
(スパイク・チュンソフト)

進行役
スパイク・チュンソフト
PR担当

― 本日はよろしくお願いいたします。
まず、開発チームの皆様にお聞きしたいのですが、『かまいたちの夜』とのコラボをなぜ実施するに至ったのか、というところをお伺いしたいのですが。
元々、スパイク・チュンソフトさんで働かれている福井さんと、自分がもう10年以上親交がありまして。それで、『かまいたちの夜』が30周年を迎えられた際に、自分も初代を遊んでいたので30周年の記念サイトにコメント書かせてもらった、というところが始まりだったのですが、もうコラボしちゃえ!という話になって(笑)
去年の東京ゲームショウのタイミングで、スパチュンさんとウチで何かできないかなって話をしたときに、ちょうど、『SPY×FAMILY』と『かまいたちの夜』のコラボがあったんです。「先にやられたな」って思いながら、何かやらせてもらえないかっていうのをご相談させてもらったのがきっかけですね。
― もう最初からノベルゲームを『ストリートファイター6』の中に入れるイメージはお持ちだったのですか?
そうですね。入れられるんじゃないかなーと、ふわっと考えている間に、「やっていい」って(笑)
ミーティングとかで「こういうお話とかあったらおもしろいよねー」と笑いながら話していて、気づいたら作っていた、みたいな。知らない間に作る流れになっていた感じです。
― それはまた……(笑)
我孫子先生に試遊いただいている際、グローバルで14言語に対応というお話しでビックリしました。開発を進める中でご苦労もあったのではないでしょうか?
ローカライズチームでないと詳しいところはわからないですが、もちろん用語とか伝え方とか、難しいところはあったと思います。実装の面で言うと、アラビア語だとアラビア語特有の出し方をしないといけなかったり、フォントによって文字の幅が違うので、画面としてちゃんと綺麗に見えるように、言語ごとに表示のされ方を調整したり、というのが大変なところではありました。
また、効果音やBGMの面で言うと、『かまいたちの夜』はテキストを出すときに、時間とかスピードとかタイミングとか、非常に細かく、スーパーファミコンの段階でもう設定されていたと思うんですが、そこまではさすがに完璧にはできなくて。言語が変わるとそういう制御を入れる場所も言語ごとに変わってしまうので、そこは本家よりもシンプルな形にはなってしまいますが、なるべく『かまいたちの夜』の雰囲気を感じられるように、というところは結構大変でしたね。
アラビア語の文字は右から左に表示されていくんですか?
文字は、ちゃんと右から。『ストリートファイター6』は本編もアラビア語に対応しているので、右から出てくるという形には元々対応しています。ただ、もしも『かまいたちの夜』そのものをアラビア語などでやろうと思ったら相当大変ですよね(笑)無理に近いと思うんですけど。
本家『かまいたちの夜』でもやってない多言語対応をやっていただいているんですよね。過去リリースした『かまいたちの夜(※iOS/Android版)』も英語対応までしかやってないので。
ローカライズチームのメンバーが、このモードをプレイして、「自分でも面白くて『かまいたちの夜』買いました」って話していて。
『かまいたちの夜』を多言語ローカライズできたら、よりゲームの可能性が広がるかなって思いましたね。
誰目線よ(笑)
みんなに知ってほしいので!
― では次の質問を。コラボコンテンツを開発されるにあたって、『かまいたちの夜』らしさというところで、意識された点を教えていただけますか。
テキストで言うと、『かまいたちの夜』の文体は、割とこう…なんて言うんでしょうね、緊迫していても、ちょっととぼけた味が有ったりするじゃないですか。そういうのを入れたいな、という点と、あとなるべくエンディングは、しょうもない選択肢も増やして入れたいなーというのは、意識しましたね。先ほど我孫子先生が引っ掛かった部分もあって、やべぇ!と思いましたけれど(笑)
いやでも本当に「自分はこういう文章絶対書かないな」というのは(コラボコンテンツ内に)出てこないので、なんかこう違和感がなくてすごいなと思いました。たぶん、研究して、(自分が)使いそうな言葉を使って書かれているんだなーと。
― そのあたりやっぱり原作を研究されて?
そうですね。研究というか、僕も『かまいたちの夜』を遊んでいましたし、今回もあらためて見直しました。スーパーファミコン版の当時は、容量制限があったので、文字数を詰められていたんじゃないかと思うんですよね。無駄を削ったり。
そうですね、容量制限というよりは、当時、1画面に出せる行数が9行しかなかったんですよ。
で、横も19文字しか表示できなくて。19文字9行ってめちゃくちゃ少ない。それに、ページをまたぎたくないんですよね。
ページまたぐとか、あるいはスクロールして、とかにはしたくないので、この見える範囲で1シーン終わらないといけない。次のページに行ってもまださっきの描写が続いている、なんてことにはしたくないから、縮めて縮めて……とやって、だいぶ削りましたね。
そういう簡潔さがさっき言った、とぼけた感じや、逆に怖さにもなっていたな、という記憶があったので、そういうところを表現出来ればなーというのはやりましたね。
― なるほど。グラフィック面での『かまいたちの夜』らしさはいかがですか?
そこでいうと、まず「実写の背景でやりたい」っていう。青い人間と実写の背景。これはもう絶対に実現したいと思って。舞台はカプコンの保養所で撮影しているんですが、ちょうど「っぽいなー」という見た目をしていたので、もう、カメラ担いでやろうと。管財部の人に「こういう理由で使いたいんですけど」と連絡を取って、カメラ担いで、社用車でブーンと向かって撮るみたいな。
これは一日で全部撮ったんですか?
下見に一日、本撮影で一日です。合計二日で。めちゃめちゃパンパンなスケジュールで。
構図・レイアウトを含めて……必要な素材は何か、とかの洗い出しって、その場でですよね。
「やめればよかった」って(笑)撮影からレタッチの流れまで含めて、「やめればよかった」と思いつつも、今となってはやってよかったと思います。
しかも、物語の舞台は冬だったじゃないですか。でも撮りに行ったのは春なんですよ。
いやもう「雪とか無理なんですけど」って言ったんですけど(笑)気づいたらもう、吹雪いているというお話になっていて。吹雪いているように加工しなきゃとか、そういうところも大変だったんですけど、やってよかったです。『かまいたち』っぽい感じが出て。
格闘場面でのキャラクターは、元々ああいう仕様というか、青人間が作れる仕様になっていたんですか?
いえ、今回用に……
(驚きと笑いの声)
― その点について、苦労された部分はありますか?
作ること自体はできるんですけど、物量の面とか何でもできるわけではないので、可能な範囲で何とか収めるのが大変でしたね。実はノベルパートとバトルパートで全然造形が違う人とかがいたりもします。もちろん本当は一致してればよかったんですが、制作の物量もあったりするので、なるべく雰囲気を似せて、プレイの緊張が途切れないようにして全体を収めましたね。
そうなんですね。僕はもうてっきり、ああいう青人間で遊べる元々の仕様があって、「じゃあこれを『かまいたちの夜』だってことにしよう」みたいなことかと。
今回用に作ったんです。
このDLCをダウンロードしないと青人間で格闘はできない、と。
そうですね。実際にこれが配信されたら、『かまいたちの夜』モード以外でも青人間が使えるようになります。オンラインゲームのようにみんなで集まってお話しできるロビーがあるんですけど、そこに青人間の姿で登場してポーズを取ったり、とかもできるようになります。
僕は、てっきり『スト6』になって、キャラクターが自由自在に作れるようになっているんだなーと。そうじゃないんですね。
そうじゃないんですよ。
専用にシェーダーを組みました。
もうコラボのレベルじゃないですね。
スパチュンからは素材を渡したくらいですか?
参考資料の画像と、BGM・SEはご希望いただいたものをお渡ししています。
それで、イチからノベルゲームを作って……
対戦格闘ゲームまで作っちゃいました。
いやもう、本当にありがたいですね。
― 我孫子先生は、本日初めてゲーム画面をご覧になったと思うのですが、最初に『ストリートファイター6』と『かまいたちの夜』がコラボすると聞いたとき、どういう印象を持たれましたか?
印象というか……意味が分からなかったですね(笑)でも、「ワールドツアー」モードの話を聞いて、なんとなく、あちこち3Dで動き回ることができて、ちょっとしたシナリオが進行するのかなとその時は思いました。
私も初めて聞いた時は、我孫子先生と同じような印象を受けましたね。
その後に、サンプル映像を拝見したらノベルゲームだったので「思っていたのと違うな」と……(笑)
最初はそういう案もあったんです。3Dのマップを歩いていって青人間と出会うっていうのをやってみたんですけど、「違うね」という話になって。じゃあもう本格的に作るかって。
理屈じゃなくて気持ちで(笑)
最初に提案した時は、各所でミステリが起こって、その中を歩くという形もあったんですが、私も原作を今回初めてプレイして「いやこれはちょっとガッツリやらなきゃいけないな」と思いまして。青人間にするだけじゃやっぱりちょっと違うな、と。
テキストの表示量を増やしたり、選択肢を選べるようにしたり、青人間のシェーダーを自前で作ったり、みたいなのを全部、順を追って。「これ『かまいたち』じゃねぇか」って言いながら、どんどんどんどん、最終的に『かまいたちの夜』になっていくっていう面白い体験でしたね。
(サンプル映像を見て)ノベルゲームなんだろうなって思って来たんですけど、(実際に見て、)いやまさかこんなちゃんとしたものになっているとは思いませんでした。
(一同笑)
いやもっと、ギャグっぽいというか、くすぐりがあってバトル、くすぐりがあってバトルみたいな、そういう仕組みだろうなと思っていたら、まさか犯人がいてトリックがあるとは。
― 『かまいたちの夜』がトータルで再現されていたわけですね。
我孫子先生が実際にプレイされている姿を初めて拝見しました。最近ゲームはあまりされてないですか?
コンピュータゲームはほとんどしていなくて……実はボードゲームばかりやっていて、人と遊んだりしているものですから、あまり家で一人ではやらなくなっちゃって。
僕、本当ね……元々アーケードの『ストリートファイターII』の時にすごくはまって、ずっとゲーセンで遊んでいたんですよ。で、スーパーファミコンで『ストII』が出てから、またそれもやって、『ストゼロ』……までやったのかな?
僕はオンラインで人と対戦する、知らない人と対戦するって言うのがあまり得意じゃないというか、惹かれなくて。『ストII』的なゲームは最近のゲーム機では全然やっておらず、一人でモンハンをプレイしたりとかしていました。だからちょっと久しぶりに『スト6』もやりたいなと。どこまで思い出せるか、通用するか分からないですけど。
我孫子先生は春麗使いだと仰ってましたね。
最初はずっと春麗を使っていましたね。でもある程度情報が手に入るようになると、キャンセル技だとか、自分では発見できないけど、こういう風にやったら良いみたいなテクニックを知って練習したりとか。
― 練習されたんですね。
小パンチ打って、なんかして、昇竜拳を入れると硬直なく出せるとか…色々練習していたので、春麗以外にもリュウ、ケンとかは使っていましたね。
― では、今回プレイされてみて、気に入った点というのはいかがでしょうか。
気に入ったというか……すごくよく出来ているなと(笑)本当に、こんなにノベルゲーム部分がちゃんとしているとは思っていなかったので。
簡易な笑わせるシナリオというか、それも『かまいたちの夜』が好きな人じゃなくて、『ストリートファイター』が好きな人が笑えるギャグみたいな、「あっ、このキャラこいつじゃん!」で笑わせる、くらいのシナリオと思っていましたが、(ここまでノベルが作り込まれていると)『かまいたちの夜』を知らない人がプレイするとよくわからないこともあるんじゃないかって。
もしかしてやりすぎちゃったのかな……?
しかも、世界展開していると聞いて、『かまいたちの夜』より沢山の人がプレイしそうなのに、これで大丈夫なのかなって気はしますけど。
心配になってきた(笑)
でもローカライズチームのメンバーが、これを作っていて興味を抱いて、面白くて『かまいたちの夜』を買っちゃったという流れもあるので、そこはやっぱり魅力が通じるんだなと、大丈夫だな!と思っていますが、そこは理屈を持って作っていたわけじゃないのでわからないですね。パッションで、情熱で作っているので(笑)
私も監修として確認させてもらって、我孫子先生に見てもらうまではちょっと心配もありつつ、私が見る限りではほとんど言うことはありませんでした。『かまいたちの夜』として成立していて、かつ『ストリートファイター6』の中で、ちゃんとバトルとノベルが、シームレスにつながり、スムーズに遊べるのが衝撃でしたね。
しかも、こういうノベルっぽいパートが(『スト6』に)もう既にあって、テキストを流し込んだら出来るっていう体制なのだろうと思っていたんですが、本当に一から作ったとは。ちょっと大変だなぁと。
最初の監修の際、サンプルでカプコン荘(※舞台となった保養所)のダイニングの写真とテキストが『かまいたち』っぽい感じになっているものがきて、「こんな感じを想定しています」と。ここからワールドツアーの仕様に合わせたものになるのかなと思っていたんですが、そのまんまで。あまり言い方が良くないかもしれませんが「どうかしてるな」って(笑)
(一同笑)
まさかこんなに作り込んでいただけるとは。ぜひまたこのシステムを使って別の形も見てみたいですね。
そうなんですよね。これだけじゃあ、もったいないですよね……
追加シナリオじゃないですか?(笑)
『かまいたちの夜』じゃなくても、他のものでも使えるんじゃないかと。
テキストもね。書きすぎちゃって。
そうなんですよね。元々もうちょっとシンプルな量で想定していたんですけど。
― ボリューム的には、プレイ時間で言うとどれくらいになりそうでしょうか?
今日、ちょうど遊んでいただいたのが一時間くらいだったと思うんですが、メインシナリオを「この選択肢ちがうな」と普通に遊んでいって、一時間くらい遊べたらいいなという感じですかね。いろんなエンディングに行きつつ、メインシナリオの終わりまでで。ただそれでもまだ遊んでいないサブシナリオが残ったりしますので。
― 確かに、エンディングが複数あって、原作のオマージュも散りばめられているとしたら、『かまいたちの夜』ファンにもかなり喜んでもらえそうです。
僕の好きなエンディングも2つ入っているんですけど。「大阪」と「ストック」は入っています。
ストックは絶対入れたかったからね。
クリアした後に、「あいつと戦いたい」ということはできるんですか?
バトルだけをプレイすることはできないですね。
ただ、全員と戦うというシナリオは存在します。連戦で。
じゃあ分岐が分かっていればそこに飛んで、連戦もできると。
筋肉エンドだっけ?違うか……
「その人影は……」とかそんな感じだった気が。
あ、そうです。開発名称は「皆殺しエンド」だったんですが……
さすがにちょっとそのまんまなので変更しました。
実は、「焼死体」っていう表現でゲームの(CERO)レーティングが上がりそうになったんです。『スト6』はCERO:Cで、今までこういう言葉がゲーム内には出てこなかったので。
でも「焼死体」ではレーティングは上がらなかったんですよね。上がったのは、それこそストックで刺すところで、無防備な人を攻撃するのは虐待だって(指摘されて)
でもぎりぎりを攻めて。レーティングアイコンが追加されたのかな。
そうだ、それもやりました。アイコンを追加することで、ゲーム内容を収めると。
アイコンを追加して残せるのが凄いけど。
オープニングのあの血の赤も色々と……
そうですね。あれも血の赤はダメだと……
結局ストックで刺されるんですか?
刺されます!
― なんだか、すごくご迷惑をおかけしているんじゃないですか?(笑)
いえいえ、こちらがやりたかったので。
暴走しましたね、みんなで。
良い暴走だったと思います。
― 開発の皆さんにお聞きしたいのですが。一見何も繋がらなさそうな対戦格闘ゲームとサウンドノベルなんですけども、実際に制作をされてみて、ここは親和性があるなと、感じられるような部分はありましたか?
(小声)ありましたか……?
正直ないですね!
ズバッと(笑)
あらかじめいただいたその質問を見て思ったのは、まぁ、その…いや、無いですかね。(笑)
状況とかシチュエーションを理解する手段がサウンドノベルで、その後に格闘がくっついていても意外と違和感ないなというところは、親和性というかは分かりませんけど感じました。思ったより遊べるなって。
今後のトレンドですね。
サウンドノベルのあとに格闘バトル!
― 篠崎さんはどうですか?
自分が感じたのは、まず青人間を実際に自分で動かせるということが、そもそもすごく楽しかったです。サウンドノベルは、固定された画面の中で、最低限の情報量の中で、いろんな情報をどう取りに行くかっていうものですが、それを実際に自分で操作して、技を出して、バトルロイヤルになるみたいなことは、それが親和性というよりもすごく新鮮で。
初めはどんな感じになるか全く想像がつかなかったので、実際に作っていただいたものを見て、あっこういうのが作りたかったのかと。私が想像していた物と違ったという意味で、すごく新鮮で楽しかったですね。
― 我孫子先生はいかがでしょうか。格闘ゲームとサウンドノベルの組み合わせについて。
いやぁ……(我孫子先生の長い沈黙に、一同笑)
話を聞いても意味が分からなかったものが、こういう風にできるのか、というのは思いましたけど。今後どうとか、あるいは他の可能性があるかどうかはちょっと分からないですね。発展性という点で。
これで終わりかもしれない……
― では、最後に、ユーザーの皆さんに向けてのメッセージをお願いできればと思います。
まずは開発の皆さんからいただけますか。
自分も発売当時サウンドノベルを遊ばせてもらって、これは30周年のお祝いコメントにも書かせてもらったんですけど、『弟切草』はパッケージが怖すぎてプレイできなかったんですね(笑)その後、勧められた『かまいたちの夜』を遊んだのが、それまでずっと色んなアクションゲームなどを遊んできた中で初サウンドノベルだったんです。
ゲームブックなどはやったことがあったんですけど、それをTVのモニターを通して体験できて、それでちゃんとゲームとしてめちゃめちゃ面白い、というのを当時体験して「いろんな手法で人って楽しませられるんだな」というのをすごく学ばせてもらったんですね。
それと、対戦格闘ゲームを、このすごく良い機会に合わせちゃったらどうなるんだろう?ということに快くOKしていただいて、とても感謝しています。そして、自分が当時サウンドノベルを体験してめちゃくちゃ面白かったっていうのを、『ストリートファイター6』を遊んでくれているお客さんにも、ちょっとでも体験してもらえたら嬉しいなと思っています。
情熱が届いてほしいです。コラボした意味はわからないかもしれないですけど、『ストリートファイター6』をやっている人と、『かまいたちの夜』を遊んでいたり、知っていたりする人、双方に情熱だけは届いてほしいと、そう思います。
― プレイされた方には絶対に届いていると思います。
今回コラボを実施すると決定してから『かまいたちの夜』をプレイしたんですが、今も色あせない面白さがあって。それで情熱を持っちゃって、どんどんどんどん要素を盛っていっちゃったんですよね。
エンディングの数も当初は6個くらいの想定だったんですが倍以上に増えましたし、メインシナリオが結構文字数あるので、サブシナリオもちょっと文字数難しいんじゃないかというのも、頑張って分担することでどうにか実現したり。情熱と、あと『かまいたちの夜』の面白さを伝えたくて頑張りました。
スパチュン側になってるよ(笑)
『かまいたちの夜』とコラボするので『ストリートファイター6』買ってくださいね、ではなくて、逆に『ストリートファイター6』プレイヤーに『かまいたちの夜』の良さを伝えたいっていう思いで。すみません、スパチュン側です(笑)という愛のこもったコラボです。
― プロデューサーからはいかがですか?
あの……良い意味で、ですよ。みんなアホなんですよ(笑)
基本、想定より(ボリュームは)倍になるんですよ。
でも、そういう情熱を、次は僕らとか、プロモーションのところが、ちゃんと伝えていかなきゃいけない。普通に(コラボとして)出しただけだと、『ストリートファイター6』をプレイしていて、『かまいたちの夜』を知っている人だけが楽しめる、くらいにしかならないですけど、(このコラボを)より多くの人にちゃんと遊んでもらえるような、新規の人たちにも「『かまいたちの夜』面白いな」と思ってもらえるレベルのことをしているので、そういうことをちゃんと伝えていきたいなと思いますね。
入り口はね、社員同士の仲が良かったから、だけだったのが、最終的に気持ちはもう『かまいたちの夜』を世界に、という……よく分からない(笑)
「ちょっとこんなのできるで」という話だったのに。いつの間にかおまけを超えたものに(笑)
楽しくなっちゃった。
― ありがとうございます。
では、それらの情熱を受けて、スパイク・チュンソフトからも
『かまいたちの夜』の30周年がちょうど去年の11月25日だったんですね。そこから今年の11月25日までが30周年の枠組みに入っていますが、その最後に『ストリートファイター6』コラボという一番大きな花火を上げられることがすごくありがたいです。
自分も『かまいたちの夜』のスーパーファミコン版を遊んで、紆余曲折ありつつチュンソフトに入って今、我孫子先生とこうやってお仕事できるのがすごくありがたいことです。また、皆さんも『かまいたちの夜』をプレイされていて、私も『ストリートファイターII』を遊んでいて、そういう当時遊んでいた人たちがもう一回『ストリートファイター6』と『かまいたちの夜』を、現行機でまたあらためて思い出して遊んでいただけるんじゃないかなと思っています。
『かまいたちの夜』が好きな人たちにも、今回のコラボを機に『ストリートファイター6』や、格闘ゲームをまた遊んでもらえるということは大いにあるのかなと思っています。今回、こうやって集まってお話しできる場が設けられるとは思っていなかったのですが、実現していただいて、本当にありがとうございました。
― 最後に、我孫子先生からメッセージをお願いします。
基本的には反射神経が必要なゲームが好きで格闘ゲームをやっている人と、反射神経があんまり得意じゃないからノベルゲームをいっぱいやっていますという人がそれぞれの作品をプレイしている。そういう対極みたいな感じのものが、こうやって引っ付くというのは画期的なものだなと思うので、ぜひ片方だけしか見たことがない、という人にも気にしてもらえたらいいかなと思います。
『かまいたちの夜』は「ストリートファイター」シリーズみたいな、ずっと進化し続けて新しいものが出続けているというよりは、昔のものをそのままプラットフォームを変えて出している感じなので、進化という感じではないかと思うんですが……今はYouTubeとかで実況する人が非常に多いじゃないですか。
自分でわざわざ昔のゲーム機を引っ張り出してプレイすることはあまり無いと思いますが、色々な人が配信で伝えていってくれている。知ってくれている人が売れた本数以上に多いゲームだなとは思っていまして。それはそれでよいことだと思っているんですよね。ある種のコンテンツがずっとネットに残り続けていって、それを配信者の人がプレイするのを間接的にみている人たちが山ほどいて。自分もときどき見たりするんですけど、要は人がやっているのを見ていても面白いんですよね。結構。
これはこれで一つの面白い現象だなと。二次的なコンテンツなんだけども、それがずっと残っていて、それが残っているから、なんとなく今でも知られている。若い人も「名前はきいたことある」みたいな人が沢山いるコンテンツなので、いろんな形で活用していってもらえたらありがたい話だなと。
青人間って言ったら、「これなんか『かまいたちの夜』みたいじゃね」みたいなポストが必ず見かけられる。それを多分『かまいたちの夜』を知らない人も見ていたりすると思うんですよね……そういう形で、すごく息長く語り継がれています。
音楽も力があって、例えばニュースで使われたりとか、多分それで聞いたことが有る人も結構いて。そういう色々な形で、フリーコンテンツみたいになっていったらそれはそれで面白いのかなぁと思ったりしています。
だから『スト6』とは繋がらないようで、でもこんなところでも使ってもらえるものになったんだなぁと感じています。ユーザーに向けたメッセージにはなっていない気がしますけど(笑)今回のコラボは、本当にありがたく、嬉しかったです。
― 質問は以上です。ありがとうございました。


