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ゲームの基になったドラマ「3年B組金八先生」で、金八先生の息子、坂本幸作役を演じる佐野泰臣さんに、 ゲームをプレイしていただき感想をうかがいました。
聞き手:チュンソフト:イシイジロウ(監督)、田村(宣伝広報担当)
田村ゲームが出ていたことは知っていましたか?
佐野知っていました。ニュースとか、CMとかでも見ていましたし。
田村ありがとうございます。ゲームはどの辺りまでプレイできましたか?
佐野全部プレイしてませんけど、3週目の「連弾」っていうシナリオを終わらせました。

■正直、最初は見くびってました
田村どうですか、ゲームをプレイしてみて?
佐野いやー、それが失礼なんですが…正直、最初は見くびってました。最近アニメやマンガや映画をゲーム化したりというものが多くて。 そういった類をプレイして、自分の中では「そういうゲームは面白くない」という感触があったんです。で、まあ金八先生のゲームというものをCMで知って…失礼なんですが、その類じゃないかと思ったんですね(笑)
イシイなるほど(笑)。
佐野で、実際、プレイしてみたら、全くそんなことはなく「何を僕は考えていたんだ!」と(笑)
本当に面白くて、ストーリーを進めていくタイプのゲームは初めてなんですけど、シナリオはしっかりしているし、生徒一人一人の個性がちゃんと出ているし…もう、次の話に進むのが楽しみで楽しみで。どんどん進めたくなりました。
田村ストーリーはどうでしたか?
佐野こんなゲームは無いんじゃないかなと。僕が知らないだけかもしれませんが…1話2 話とあって、予告があって。それこそドラマを見てるか、本でも読んでいる感覚でした。それに加えてゲーム的な面白い要素もあって。 最近、ゲーム離れしてたんですが、ゲームに引き戻された気がしましたね。
田村武田鉄矢さんはゲームをプレイする世代ではないんですが…PS2を楽屋に持ち込ん で見ていただいたんです。そうしたら「これは生徒の問題を解決してあげるのではなく、問題が何かを見つけるんだよね。そこがこのゲームの個性なんじゃない かな」と。見事に見抜かれてしまいました。
佐野ええ。
田村でも、かなりのゲームファンの方には「なんで金八でゲームなの?」って受け取られまして。「ドラマのゲームでしょ。面白くないんじゃないの?」とか。 だから、今日の佐野さんの言葉はありがたい…。
佐野もう、声を大にして言いたいですね。皆さんにプレイしてもらいたいです。
田村金八先生のドラマを見てる人にも?
佐野もう、あっちこっち行って言いたいですね。友達にも言いましたし。
田村それはありがとうございます。
イシイ1回目のプレイは何時間くらいやりました?
佐野第5話の『星に願いを』のところくらいまでやりました。
イシイじゃあ、5時間くらい?
佐野ええ、そのくらいやりました。
イシイ「予告編ムービーがあるから止めづらい」とよく言われてるんですが。
佐野そうなんですよ。「次回は…」と予告が出て、「次の話はこの子がどうなるんだ!?」と。
田村じゃ、最初にプレイして戸惑ったことってありましたか。
佐野キーワードをどこで使えばいいのか迷いました。でもプレイしていくうちに解ってきました。「誰に話を聞こうかな?」とかワクワクしながらプレイできて、全然操作につまずいたりしませんでしたね。
■高峰先生の不器用さが好きです
イシイ数学の高峰先生とは会いましたか?
佐野会いました。大好きですね。あの不器用さが(笑)。
イシイもともとこのゲームは、金八先生をお手本に作っていたので、 「カンカン(ドラマ金八先生で数学の乾先生)は必要だよねー」ってスタッフと話してました。ライバル役の数学教師は必須でしょう、と。 そんな中、会社から徒歩1分の声優事務所さんに伺ったら、 偶然、カンカンを演じられている森田順平さんが所属されていたんです。そこでもう「若い頃のカンカンに思いっきり近づけてしまえ!」と(笑)。さすがに名前は変えまし たけど。
佐野高峰先生はすごく良かったです。2周目の最後で、カードの説明を読んで「ああそうなのか。こういう男もいるな〜」と。細かいところまで作りこんであるのが好きです。
田村先生という立場でプレイするというのはどうでしたか?
佐野一周しても生徒全員の悩みが解決できないですよね。教師ってこんなに難しいのかと。1人の生徒だけに集中しちゃうと、他の生徒達が見えなくなってしまう。教師って大変なんだってプレイした人は解ったと思います。 教師になろうとしている方は、絶対やったほうがいいですよね(笑)。
■ゲームからドラマの金八も好きになったら嬉しい
田村武田鉄矢さんは「教師を演じるって実際は孤独なんだよね」と。お会いするたび、授業みたいに教えをいただいちゃうんですけど(笑)。
佐野そうなんですよね(笑)。
田村会うと生徒みたいになっちゃいますよね(笑)
佐野いつもなりますね。全部授業みたいな(笑)
田村このゲームのユーザーの方で「武田鉄矢さんのセリフを聞いて、ドラマの金八先生が見たくなった」って方が多いんですよ。
佐野逆もありますよね。ドラマを見ていてゲームをプレイしたくなる人もいるだろうし、プレイしたからドラマが見たいという人もいるだろうし。これでドラマの金八先生を好きになってくれる人が増えたら嬉しいですね(笑)
田村私は第1から第2シリーズしかドラマを見ていなかったんですよ。このゲームの宣伝を担当することになって、初めて第5シリーズを見たんですが、ボロ泣きしてしまいました(笑)。30代の男性にはそういう人が多いので、このゲームを切っ掛けに、 「最近のシリーズを見たいな」と思った方も多いようです。
佐野それはありがとうございます。
■ラストの話にはビックリしました 急にどうしたんだ?!って
田村どの話が好きですか?
佐野最初にプレイしたというのもあるんですけど、『大人は判ってくれない』の太陽君と美咲ちゃんの話にすごく感動したんです。あとは『星に願いを』、『決戦! 激戦! 体育祭!!』、それから、ラストの話です。
田村ラストはどうでした?
佐野最初はすごくびっくりしたんですよ。急にどうしたんだ?!って。1週目では正規のエ ンディングが見られないじゃないですか、だからコレで終わりなんだと思ってしまって。 卒業式の後に、さらに数年前の過去を知らされて「なんだなんだコレは?!」と。チハル(3B生徒ヒカルの姉)の日記を 読んで「これでもしかしたら真のエンディングが出てくるんじゃないか?」と解りました。
田村『星に願いを』のロケットを宇宙へ飛ばすシーンはどうでした?
佐野思い出しましたよ。自分が小さかった頃に追いかけてたもの・・・子供の頃、自分にもそういう時期があったなと。好きな話のひとつです。
田村子供の頃、宇宙へ本当にロケット飛ばすとか…それに近い思いではありましたか?
佐野ありましたね…。
田村女の子のためだったりとかして…
佐野そうですね(笑)
■3人で同じ女の子を好きになるところがいいです
イシイ第5シリーズは幸作君にも恋の要素も入ってましたね。『星に願いを』のような。一方的に見守っている感じの恋が。
佐野ええ(笑)。
イシイそういう感覚は『星に願いを』で出せたかなと思います。
佐野3人で同じ女の子を好きになるところがいいですよね。誰か1人が1人の女の子のために頑張るるんじゃなくて、3人が1人のために頑張るっていうのが好きで…別に仲たがいしてるわけじゃなく、協力して頑張ってるところが中学生らしくて好きです。
■先がわかっていてこそ面白かった
田村あらためて、どうですか? 金八先生がゲームになったというのは。
佐野ストーリーの完成度が高いですね。あと、最近の金八先生はすごく暗め話も多いですけど、ゲームでは明るい話がたくさんで。体育祭や文化祭みたいな。
イシイイメージとしては、第1シリーズを目標にしてます。先祖がえりしてるかな。 ゲームって実は、答えの出ないものは向いてないんですよ。 プレイヤーが努力して努力して「答えがなかったよ」じゃあ、疲れちゃうんですね。で、答えが出る話というと、予定調和だったり、明るくハッピーエンドだったりといったものが多くなりますね。
佐野そうか、そうなるんですね。でも先がわかっていてこそ面白かったですね。
■あ、俺出てないな。せっかくゲームになったのに(笑)
イシイあと、最初にゲームをプレイしたときに「俺出てないじゃん!」と思いませんでした?
佐野それは思いました。「あ、出てないな。せっかくゲームになったのに(笑)」って。でも、僕はどっちかというとホームドラマのほうの金八と関係しているので「学校ドラマっていう方にはいないしな」と納得しましたし。(笑)
イシイあの、金八先生入院してるじゃないですか。で、何で家族が見舞いに来ないんだと。
佐野あ、それ今日聞こうと思ったんですよ。何で入院してるんですか!?
イシイ謎なんですよ。作ってるほうも。(笑)
■金八先生の決め台詞が好きです
イシイアニメの武田鉄矢さんはどうでしたか?
佐野ニコっとした顔とか、髪の上がり具合がそっくり。(笑)
イシイあれはキャラクターデザイナーの方がこだわって作りました。武田さんって、分析したら、話す時にずっと体が動き続けるらしいですね。
佐野ああ…。
イシイ動きながら話されるので…。アニメって動作は止まっていて口だけ動かしたほうが楽なんですけど…。だからゲームでは苦労しましたね。(笑)
田村あと大森巡査も結構動いてますね。お顔も、かなり“いい男”ですしね。
イシイ大森さんは、常に怒ったり…大きな演技をなさってるので、普通に顔を作ると似てないんですよ。怒ってる顔にすると似てくる。
佐野でも言いまわしとか、すごく忠実に再現されてるなと。
田村「タイホするぞ!」とか。お父さんの台詞というか、坂本金八先生の台詞はどうでしたか?
佐野グッとくるものがありますけど…決め台詞が好きなんですよ。「がんばってる生徒を認めてあげられない、お前が一番バカだ。」とか…。あと、ゲーム冒頭のメニュー画面で放置しておくと、金八先生の語録が聞けるじゃないですか。
イシイあれ、○(マル) ボタン押しました?
佐野押しました(笑)。「んだよもー、しゃべってるのにぃ」って。細かくていいなあと。
イシイ金八先生らしい言葉遣いを忠実に再現しようと努力しました。
■今の中学生の中身は変わってない
田村現代の中学生は、「変わってきたな」と思いますか?
佐野外面や外見は、僕たちの時代から変わってきてると思うんですよ。携帯やカラオケとか、ゲームとかでも、中身は変わってないと思うんですよ。少し幼くなったという気はするんですけど、それは親の教育の影響かなと思います。人として、中学生としては、変わってないかなと思います。
田村悩む事とか一緒だったりするんですよね。
佐野そうですね。恋とか、受験とか…そういう意味では、変わってないと思います。


田村3Bの生徒を演じてる役者さんは、皆さんはいい子ですか?
佐野いい子ですよ。金八の撮影現場って、スタッフの人たちは家族のように フォローとかサポートしてくれるんですよ。すごく恵まれてるので、そういう環境にいるとみんな素直になります。環境って大事だと思うんですよね…学校で もいい環境にいると、みんないい子になるんじゃないかな。
イシイ学校の先生の状況を調べると本当に大変らしいんですよ。武田さんがこのゲームを評された通り、答えがないん ですよね。決定権がなかったり、親のプレッシャーがきつかったり…まじめに教育問題に取り組むと、先生は無力なんですよ。だから、このゲームではあえてスーパーマンを作 ろうと…嘘で押し通したという部分もあるんですよね。ゲームの中で教頭先生が「クビだ!クビだ!」とか言ってますけど、ほんとにクビには出来ないんですよね。


田村第5シリーズでは、幸作君の恋が成就しないところとか、3Bに入りたかったけど入れないところとか、佐野さんの本心に見えたんですけど。どうだったんですか?
佐野当時は3Bに入りたかったです。
田村やっぱり。(笑)
佐野このドラマって、撮影に入る前にみんなでキャンプに行ったんですよ。で、僕も実は そのときに参加させてもらって、仲良くなって…。自分は3Bのつもりじゃないですか。それこそ、普通に中学校行くより楽しい。で、ある日を境に3Bから外 されるっていうので、「もう、何で外されるんだ!」って。自分が撮影のない日にも行って遊んでましたし。
田村3Bの生徒が一丸となって何かやろう!という雰囲気は、ゲームの方でも狙っていますね。
■たろPは僕に似ている?
田村ゲームの中で、佐野さんが「自分に性格が似てるな」と思った生徒はいました?
佐野これっぽいなーというのは…やっぱり「たろP(大山太郎)」になるんですかね…。お調子者だったので。
イシイたろPは、チュンソフトのプログラマーがモデルなんですよ。
佐野あんな人いるんだ(笑)
田村しゃべり方とかも、まったく同じですよ。
イシイ不思議なタイミングで「なるほど」って言うんですよ(笑)
田村ドラマの幸作君は、「本当にいい人」っていう感じですよね。佐野さんご自身と重なる部分はあるんですか?
佐野うーん…根本的に、優しくすることは心がけてますけど…あんなできた人間じゃないんで。それこそ、おちゃらけてごまかしちゃったりする部分があるので。 そういう面で、たろPもそんなやつかなと勝手に思ってます。
イシイまあ、たろPにはそういう面もあります(笑)。女子生徒で気に入ったキャラはいますか?
佐野美咲ちゃんかな。
イシイ美咲を気に入ったユーザーの方は、9話10話を見て美咲が嫌いになる人と、そのまま許せる人がいるみたいですけど、許せました?
佐野美咲ちゃんだから許せたと思います。「なにも美咲ちゃんがこんな風にならなくてもいいじゃん!」と思いましたけど。でも美咲ちゃんじゃなかったら、さらに重い話なっちゃうような気はします。でも、本当に愛すべきキャラクターばっかりですね。
イシイ声優さんもすごいキャリアの方が多いですね。舞台も立たれている方もいたり。幅広い感じですね。収録時に、ほとんどミスがないのはびっくりしました。
田村たまに詰まったりしたら「失礼!」って。
イシイあとオマケシナリオが、先生だけ出演するシナリオなんですけど、本物の役者さんとしてみるとすごく面白いと思いますよ。 
田村演劇というかね。
イシイ小劇場の演劇みたいなね。 全然ゲームっぽくはないです。
佐野まだそこはプレイしていないので、楽しみにします。
■金八ブランドを外しても、ゲームとしてドラマが成り立っている
田村最後にまだプレイしてない人に向けて一言お願いします。
佐野本当に、このゲームを見くびって欲しくはないですね(笑)。金八先生っていうブランドを外しても、まさに”ゲームとしてドラマが成り立っている”と思います。
田村ドラマに出演された方が言うと説得力ありますね。(笑)
佐野たとえば、金八先生が苦手でこのゲームを買い控えてる方にも、「金八先生」を考えから外してプレイしてもらえば、絶対満足できると思います。プレイした私としても、友達に勧められますし。 金八先生という部分で一歩引いてる人にも、ぜひやってもらいたい。
田村逆に、金八先生のドラマを好きな方々にはどうですか?
佐野そういう方は、プレイしなきゃだめですね。やればドラマが2倍3倍楽しくなる。作りは細かくて、学校の設定もしっかりしてるし。学校の中を動き回ってる感じは、本当のドラマのような(笑)
田村たぶん教壇に立てる方ってあまりないと思うので、多くの人が先生の気持ちを味わえるかなと。
佐野生徒と接するって「大変だけど楽しいな」ってこのゲームで感じました。ぜひ皆さんもプレイして感動を味わってください。



佐野泰臣さんプロフィール
1984年東京生まれ。4歳でデビューし、幼少から数々のドラマに出演。1995年「3年B組金八先生」第4シリーズからレギュラー出演。 「バトルロワイヤル」「あずみ」など映画でも活躍中。好きな芸能人はゲームファンでも知られる伊集院光さん。
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