旅立ちの言葉塩見慶一郎投稿者 : あかり

ヒカルや銀平に言わせると、三人の中で一番変わったのは俺だそうだ。
‥‥‥逆に言えばおまえ等は成長してないってことか?
そう思ったが口にはしなかった。ヒカルに口で勝てる自信はあまりないし、心当たりがないわけでもなかったから。

正直こういうのはらしくないとは思うんだけど、ケジメってことで一つだけ。
礼は言っとくよ。
アンタがいたおかげでデカくなった事件もあったような気がするけど、アンタがいなけりゃ今日の卒業式は無かったかもしれないし。
少なくともこんな気持ちでここを卒業することは出来なかったろうな。

八つ当たり承知で言うと、実はアンタのことはあんまり好きじゃない。
銀平やヒカルの事件のことも、‥‥あのイブの日のことも。
正直感謝してる。お節介が過ぎると思うこともけっこうあったけど、教師生命通り越して命まで賭けそうになる馬鹿は初めてだ。

でもだからこそやっぱり、アンタは嫌いだ。
ガキの勘ぐりに過ぎないとわかっていても、俺よりあの人の近くにいられるアンタが、ほんとだったら鼻で笑って馬鹿にしてやりたいはずの人間なのに、認めて、しかも感謝したいなんて思わせるアンタが、嫌いだ。
ああ、わかってる。だから言ってるだろ? 八つ当たりだよ。

八つ当たりのとばっちりついでに一つ。
どうせなら、いつまでも俺に嫌われるようなヤツでいてくれよ。‥‥「先生」。
投稿者よりコメント
ノベライズ読みました。主人公への言葉ということで。塩見の性格考えてたら、なんだか逆説っぽい文章になってしまいました。