旅立ちの言葉中島ヒカル投稿者 : sachina

卒業式前日。マミレミクミの3人が朝から慌しくクラス中を走り回っている。「明日、先生に渡そうと思うんだ。ヒカルも書いてよ!」マミから差し出された一枚の色紙の中心には「先生へ 3年B組一同」と大きく書かれていた。寄せ書きか・・・。
この1年間、先生とは色々あった。美咲の事、銀平の事、塩見の事、お姉ちゃんの事、桐谷先生の事、そして私の自殺未遂・・・。
私の心の中には先生に伝えたい気持ちが沢山あるのに、この想いをどんな言葉に変えて伝えたらいいのかわからない。上手く言葉にできないのがすごくもどかしい。ふと色紙に目を落とす。色紙には既に数名の生徒が先生への想いを吐き出していた。

「せんせー、いろいろありがとぉ!今度おうちに遊びに行くね。お泊りセットを持って!なーんてな。美咲」
「先生が担任で良かったです。勉強だけが全てじゃない、今は本当にそう思います。太陽」
「世話になった。元気でな。銀平」
「今、フォークのレッスン受けてるんです!いつかお父さんみたいに歌えるといいな。あやか」
「将来はアイドルプロの社長になるっス!燃えてるっス!大山」
「シェリーは元気です。僕、今自分に出来る事を精一杯頑張ります!雪也」
「サクラ中に来て本当に良かったと思っています。演奏会、聴きに来て下さいね。京子」
「あんたの事、忘れねぇよ。塩見」
「皆で作った映画は最高の思い出だ。近々レイカに会いに来てやってくれよな。岩木」
「先生ってほんっと変わってますよね。ま、そこがいい所、かな?あい」

皆の書いた寄せ書きを読んでいると、先生との思い出が一気に頭を駆け巡る。ああ、そうだ。私の一番伝えたかった言葉は・・・。寄せ書きには結局当り障りのない言葉を書いてしまった。今の私には伝えたい言葉を伝えられるだけの勇気がない。でもいつか私がもっと大人になって、もし先生にまた出会えたとしたら、その時はきっと伝えよう。「先生の事が大好きです」って・・・。
投稿者よりコメント
旅立ちの言葉というよりショートストーリーのようになってしまいました。なぜ先生に渡す寄せ書きを学級委員のタロPとヒカルではなくマミレミクミが仕切っていたのか・・・。それは謎です。