松本Dの 酒だ! トークだ! ファイプロだ!!

『FIRE PRO WRESTLING WORLD』(『ファイプロW』)ディレクターの松本朋幸が、
『ファイプロ』好きなゲストと酒を飲みながら、『ファイプロ』談義をする当コーナー。
記念すべき第1試合は、『ファイプロW』開発プロデューサーの小林高志氏(ZEX)と、開発ディレクターの田村季章氏(ZEX)が参戦。
しょっぱなから開発キーマンの登場で、トークも白熱!

【写真左】
小林高志(こばやし たかし)
開発プロデューサー兼ディレクター
プレイステーション2版『Z』で開発ディレクター兼メイン企画、『リターンズ』では開発プロデューサーとして参加。Mobage版では再び開発ディレクター兼メイン企画で参加。

【写真中】
田村季章(たむら としあき)
開発ディレクター兼メイン企画
ヒューマン入社後、PCエンジン版『ファイプロ3 Legend Bout』にグラフィックスタッフとして参加、その後スーパーファミコン版『SPECIAL』、『クイーンズスペシャル』、『X』、サターン版『S』でグラフィックリーダーとして参加。プレイステーション版『G』、ドリームキャスト版『D』でメイン企画とグラフィックを兼任。プレイステーション2版『Z』ではサブ企画、『リターンズ』では開発ディレクター兼メイン企画で参加。

【写真右】
松本朋幸(まつもと ともゆき)
総監督
『ファイプロ』を作りたくてゲーム業界に飛び込み、『ファイプロG』にてシナリオ、企画を担当。その後、ワンダースワン版や、他のプロレスゲーム開発に携わる。自身の看板タイトルである『喧嘩番長』では、『ファイプロ』愛をいかんなく発揮。

『ファイプロ』が復活した経緯

――
今回は第1回目ということで、『ファイアープロレスリング ワールド』(以下、『ファイプロ ワールド』)開発チームの皆さんにお越しいただきました。12年ぶりの『ファイプロ』復活ということですが、まずは復活の経緯を教えてもらえますか?
松本
『ファイプロ』が好きだったから、ですかね(笑)。
一同
(笑)。
――
『ファイプロ』シリーズの新作を作りたいというお話はずっとされていたのでしょうか?
松本
ずっとしていましたね。僕がスパイク・チュンソフトに入社してもう8年目か9年目になるのですが、これまで5回ぐらい『ファイプロ』の企画書を提出していたんですよ。そのときにも小林さんには、いくらぐらいで作ることができるか、という資金面の相談をさせていただきました。
小林
『ファイプロ・リターンズ』(2005年/以下、『リターンズ』)が終わってから毎年のように新作の話が上がってはしぼみ、のくり返しで。道のりは長かったね。
松本
長かった。毎年春ぐらいになると『ファイプロ』の企画が出てきて、社内でも風物詩だなんて言われていましたからね(笑)。
――
企画を却下された際に、採用できない理由を言われたりはしましたか?
松本
明確には言われていないのですが、シンプルに採算が取れないという部分はあったと思います。やっぱりビジネスなので、経営陣も『ファイプロ』が好きなんだけど、なかなかゴーサインは出せない。そういう状況だったのではないかと。
――
しかし9年間かけて、5回目の提案でとうとう企画が通りました。今回ゴーサインが出た決め手は何でしょうか?
松本
やっぱりSteamの市場が広がってきたことが大きいですね。会社としても可能性を感じられる規模の市場になったおかげで、「ちょっと試してみてもいいかもな」という空気が出てきたんですよ。
――
では最初はPlayStation4ではなく、Steam版だけが予定されていた、と。
松本
そうです。ただ、「いやいや『ファイプロ』を待っているファンはコンシューマー市場にもいるぞ!」と言ってですね、「やれんのか!」と(笑)。
一同
(笑)。
――
企画が通ったときはやはり皆さんうれしかったですか。
松本
もちろんうれしかったですし、何よりOKを出してくれた会社の漢気にびっくりしましたね。感動しましたよ。Steamの市場が大きくなってきているとはいえ、この先どうなるか分からないですし、日本のユーザーが付いてくるかも分からない。そのなかでゴーサインを出したうちの櫻井(※1)は漢ですね。すごいです。
※1 スパイク・チュンソフト代表取締役社長の櫻井光俊氏
小林
企画が通ったと聞いたときも、最初は半信半疑でしたね(笑)。
松本
9年間くらい“やるやる詐欺”でしたからね。
一同
(笑)。
小林
でも本当に企画が立ち上がるとわかって、やっぱり社内で歓声が上がりましたよ。皆で「やれんのか!」って(笑)。

田村氏の参加は奇跡的

――
12年ぶりの『ファイプロ』というのもすごいですが、これまでの『ファイプロ』に関わってきた方々がまた集結したというのもすごいですよね。
松本
奇跡的ですよね。田村さんなんて最初に企画を立てたころにはぜんぜん別の仕事をされていましたからね。
田村
そうですね。松本さんと小林さんからお話をいただいたときは、「いまは別の仕事が忙しいので」とお断りしていたんですよ。それから何ヶ月か経って、また企画が潰れたのかな、と思ったのですが……(笑)。
松本
今回は違いました(笑)。
田村
しばらくした後に、「今度は本当に動きそうだから、手伝ってくれないか」と言われまして。それがちょうど仕事の契約が切れるときだったんですよ。なので最初のときに企画がスタートしていたら、逆に僕は参加できなくて困っていたところなんですよね。
小林
タイミングがよかったね。
田村
僕個人としても、今回が『ファイプロ』の記念すべき10作目なんですよ。「9作で終わりか……」と思いながら12年を過ごしていたところに10作目のお話をいただけて、しかもおまけの手伝いではなく、メインで関われるというのは本当にうれしいです。予定していた休みはキャンセルになっちゃいましたけど(笑)。
一同
(笑)。
松本
ちょうど契約更新の時期というのはタイミングがよかったんですけど、ふつうはそのまま契約を更新しますよね。そこで「『ファイプロ』ならやります!」となってしまうところが、いい意味で馬鹿だなぁって思います(笑)。すげぇな、と。
田村
契約更新のお話も振っていただいていたので、先方にはすごく謝りました(笑)。ただあちらも、僕が『ファイプロ』を作っていたことを知ってくれていたので、「じゃあしょうがないですね」と、最終的には気持ちよく送り出していただきました。
――
プロレスで言うところの円満移籍ですね。
田村
そうなんですよ。珍しいケースですが。
松本
だからこそ継続していかないとダメですよね。1発で終わってしまうのではなく。まだまだやることはいっぱいありますから、お願いしますよ田村さん。
田村
がんばります(笑)。
――
「『ファイプロ』のためなら」で人がまた集まるのはアツいですね。運命的というか。
松本
本当に。今回は作るべくして作っている感じがしますね。『ファイアープロレスリングG』(1999年)のときは田村さんがメインプランナーで、僕はその下に就いていたので、僕にとって田村さんは師匠のような存在なんですよ。今回も立場が違うとはいえ、同じように田村さん主体で作らせてもらっているので、「田村さんに頼めば何かやってくれる! 田村さんなら!」という期待感がありますね。
田村
いやいや(笑)。
――
企画が通っても人が集まらなかったらどうしよう、といった不安もあったと思いますが。
松本
最初はもう、新作を作れるか作れないか、という部分だけでテンションが上がっていましたね。企画が通った後で「やばい、人集まるかな」みたいな(笑)。
一同
(笑)。
松本
でも結果的に集まってくれましたから。よかったです。

開発の苦労と反響

――
12年ぶりの開発となるとハードも全然違いますよね。コンシューマーで言えばPlayStation2からひと世代飛んでPlayStation4です。実際に開発が始まってからの苦労も多かったのではないでしょうか?
田村
やっぱり大きかったのはグラフィック面ですね。『ファイプロ』というものを表現するうえで、これまでの見た目のイメージを引き継いでいきたいという考えは、コンセプトの時点からありました。ただ、『リターンズ』のころの素材は解像度的にも使えるものではなかったんですよ。
松本
そのまま使ったら画面上によくわからない小さい線とかが表示されるような状態でしたからね(笑)。
田村
昔は解像度が変わるときには単純にドット数を4倍にして、少し手直しをして綺麗に見せるような加工をしていたんですね。ただ、いまの解像度はもうドット絵っていう世界ではなくて、手で打つものではないんですよ。なのでこれまでの方法は使えない。そこで拡大してからフィルターをかけるといった方法を考えたのですが、これも意外とそのまま使うことはできない。
松本
単純に大きくするとジャギジャギした部分が見えてしまうし、それを隠すためにフィルターをかけると、今度はボケボケになって見えなくなっちゃうんですよ。
田村
プログラムでフィルターを調整しようとしても、意図しないところに変な線が入ってしまうこともあったりするんです。なので、見た目についてはまだまだブラッシュアップをかけている状態ですね。
――
ただ、現時点でも十分「これぞ『ファイプロ』」なクオリティーになっていますよね。12年ぶりの復活、しかもこの『ファイプロ』感、やはりユーザーからの反響も大きかったのではないでしょうか?
松本
ありましたね、すごく。
小林
本当に、世界中から反応をいただけましたね。
田村
あれはうれしかったです、本当に。
松本
Twitterなんかでも毎日のように海外の方から質問をいただいているんですよ。ただ僕、英語ができないので、もうグーグル翻訳フル稼働ですよ。
一同
(笑)。
松本
でもグーグル翻訳だと日本語が変になって、けっきょく意味がわからないじゃないですか。なのでデイブ(※2)に翻訳してもらって、返事も「こういう風に返してあげて」と日本語で伝えたことを訳してもらったりしながら、コミュニケーションをとっています。
※2 スパイク・チュンソフト コミュニティマネージャーのクレーカ・デイビッド氏

印象に残ったユーザーの声

――
『ファイプロ ワールド』の発表からこれまでにもらったユーザーのコメントで、印象に残っているものはありますか?
小林
「待ってたよ」という声がものすごく多かったですね。
田村
やっぱり、「ずっと昔にやっていたけど、復活するんだね」という声は数も多かったですし、一番うれしかったですね。『リターンズ』のころは時代的なものもありますが、あまりユーザーさんからの反響をいただけていなかった印象があるんですよ。
松本
当時はSNSがそもそもなかったですからね。
田村
特定の掲示板を見たり、個人でホームページを作っているような方の書いたことを見ることはできましたけど、逆に言えばそこしか見られませんでしたからね。いまは適当にネットサーフィンをしているだけでも反響をものすごく多く得られるじゃないですか。単純に物量で驚きますよ。『ファイプロ』にこれだけ多くの人が反応してくれるんだ、という。
松本
発表直後は「復活させてくれてありがとう」の声がすごかったですね。むしろこちらこそありがとう、待っていてくれてありがとう、なんですけど。でも少し経つと「あれが欲しい」、「これが欲しい」と。出たな、という声も上がってくるようになって(笑)。
一同
(笑)。
小林
これまでの『ファイプロ』シリーズですと、ユーザーが交流する場所は2ちゃんねるしかなかったんですよ。それで、まだ何も発表していないのに「アイツが出る」、「あの技が入っている」と、噂がひとり歩きすることが多かったんですよね。
田村
インターネットではよくありますが、誰かが憶測で書いたことを、別の誰かが事実として書き始めることが多くて、当時は見ながら冷や冷やしていましたね(笑)。
小林
発売した後に「あの技が入ってるって聞いたのに入ってないじゃないか!」みたいに言われたりね。誰もそんな話はしてないよ! っていう(笑)。これまではそういうことが多かったのですが、いまではユーザーの待望論が聞けるということで、作り手の励みにもなっていますね。
松本
ユーザーの声が直接聞けるので、実際に実装できるかどうかはさておき、気になっちゃうんですよね。
小林
やっぱり言われたか、みたいなこともあったりしてね。
――
まだ発表していないけど入ってますよ、だったらいいんですけどね。
田村
気持ちはわかる、わかるんだが……! みたいなのはありますね。「それ俺も考えたよ!」みたいなこともいっぱいあります(笑)。

現在の開発状況は?

――
ゲームの開発にはマスターアップの期限がありますし、とくに昔はアップデートなどもなくて、作ったらそこで最後でしたよね。だからこれまでも「あれもやりたかった」のくり返しだったと思います。『リターンズ』のときから考えれば、『ファイプロ ワールド』は12年間の「これもやりたかった」をぶつけられる最新作にもなりますよね。
松本
そうですね。やっぱり本当に……、もう1億欲しいですよね。
一同
(笑)。
小林
ぜひ欲しいですね(笑)。
松本
いまはクラウドファンディングとかもありますからね。あと1億あったら左右非対称のデザインとかもちゃんとできますよ。とにかくやれることは多々ありますから、なんとか売れてほしいところですね。
――
まずは発売に先がけて、7月10日にSteam版のアーリーアクセス(※3)を迎えますね。
※3 ユーザーが購入、ダウンロードできる開発中のゲーム。
松本
もうすぐですね。大丈夫ですか?
小林
こっちに振るの?(笑)
田村
すごいぶっこみがきましたね(笑)。問題がないわけではありませんが、がんばりますとしか言いようがないですね。
――
あくまで開発中のバージョンですから、ある程度割り切って遊んでもらって、そのうえでユーザーの意見をもらいたいですよね。
松本
ユーザーさんの意見は欲しいですね。単に声を聞くだけではなくて、実現するつもりもありますし、そのための枠も用意してあります。意見はどしどしください。すでにネットで書かれているようなことでも、「あ、これおもしろい!」と思ったことはメモをとって実現しようとしたりもしていますから。
――
では、開発は順調に進んでいると。
小林
……そうですね(笑)。
田村
がんばります(笑)。

エディットモードが進化!!

――
アーリーアクセス版ですが、デスマッチなどのルールもしっかりと入っていて、エディットの部分もちゃんと実装されていますよね。けっこう本当にがっつりと遊べる印象ですが。
松本
かなり遊べると思いますよ。
小林
『リターンズ』まで、エディット面でユーザーさんから不評を得ていた部分も、今回のバージョンでだいぶ変わっていますからね。
田村
先ほどグラフィックの解像度が変わったという話がありましたが、それに加えて、いまはパレットシステムというものが仕組みとして残っていないんですよね。
松本
Steam版だとそもそもゲーム機じゃないというのもありますからね。
田村
この部分は4色で描かれているから、4つのマス目にセットされた色を変えれば、配色やグラデーションが変化する、という仕組みがないんですよ。これが大きい。なので、今回はパーツにかかっているグラデーションの色を、カラーピッカーで色相や明度なども含めて決めるようになっているんです。
松本
ただこれだけだと、ひとつのパーツに複数の色を入れられないんですよね。
田村
そこで、パーツ自体を細かく分けたんです。タイツの稲妻模様なども、縁の線と内側の塗りつぶし部分とが別パーツになっているんですね。なので、炎の模様などと組み合わせて、謎のパターンを作ったりもできます。
松本
これまでだと、たとえば黒のグラデーションを1色だけ赤にしたり青にしたりで複雑なパターンを作っていたりしていましたけど、今回は細かいパーツのレイヤーを重ねて模様を作っていくことができるということですね。
――
エディットだけでも相当遊べてしまえそうですね。
田村
模様作りに使うことのできるレイヤーの数も、最大で9枚になっています。しかもパーツごとに9枚のレイヤーを使うことができます。
小林
エディットが大好きな人にはもう、とことん遊んでもらえればと。
松本
パンツだけでも9枚のレイヤーを使うことができますから、けっこう自由に、むちゃくちゃな感じになりますよ(笑)。
――
これはまたなかなか試合を始められないパターンになりそうですね(笑)。

松本氏が語る『ファイプロ ワールド』の注目点

――
7月10日のアーリーアクセス版でユーザーが初めて最新の『ファイプロ』に触れることになりますが、皆さんそれぞれ、どのような部分に注目してほしいですか?
松本
今回はやっぱり、売りのひとつでもあるオンライン要素でしょう。これまでは同じ部屋で友だちと遊んでいたのが、知らない人と遊べるようになるわけですから。異種格闘技戦じゃないですけど、他団体との戦いのような緊張感やわくわくがありますよね。今回初めて提供する、そういった遊びかたに対する反応が楽しみです。
――
オンライン対戦は未知の相手との競合ですからね。
松本
そうなんですよ。プロレスらしくやるのか、それともガチで、セメントでやるのかというところも読み合いになるじゃないですか。一応ルールとして、この部屋はセメント、この部屋はプロレス、っていう風には決めるんですが、けっきょく皆、最後は勝ちたくなるじゃないですか(笑)。
――
最後の最後になると急にカウンターがガチになって技が決まりにくくなったり、ですね(笑)。
松本
プロレスルールの部屋で、受けの美学というか、「負けたけどいい試合だった!」、「すごい戦いだった!」って遊んでくれる人がどれくらいいるかも楽しみですね。あと僕自身『ファイプロ』はめちゃくちゃ強いので、「俺より強いやつはいるのか?」っていう部分もあるんですよ。
――
腕に自信のあるユーザーも多いでしょうね。
松本
たぶん僕よりも強い人もいるでしょうから、いろんな人とセメントルールでやり合ってみたいですね。遠くにいる人とも戦うことができるっていうのは本作の醍醐味だと思います。

田村氏が語る『ファイプロ ワールド』の注目点

――
田村さんはいかがでしょう?
田村
やっぱりグラフィックにも注目してほしいですね。レスラーについては解像度の変化で苦労している点もありますが、逆に背景に関してはいままでの解像度の枠を気にせずに作れているんですよ。ほかのゲームと同じように基本的に3Dで作っていますので、これまでの『ファイプロ』とはちょっと違うぞ、というくらい綺麗になっています。あとは入場演出ですね。
――
入場もプロレスの醍醐味のひとつですね。
田村
『リターンズ』のときは、ムービーにレスラーを合わせる形の演出だったのですが、今回は試合で使う実際の会場に入ってくるようになっています。リングの横に道があるだけじゃなくて、入場口やステージがあって、そこからレスラーが出てきたり花火が上がったりと、スタッフが頑張って作っていますので、少なくとも1度は見てほしいですね。
――
入場シーンだけでもかなりの進化が見られそうですね。
田村
ユーザーの皆さんにも気に入っていただけたらうれしいです。本当はさらにさらに凝っていきたいのですが。
松本
ガウンの話はしないんですか?
田村
言っちゃっていいんですか?(笑)
松本
いいんですよ!
――
ぜひ聞かせてください。
田村
コスト的な面で今回は実装できていないのですが、ガウンパーツを作ろうかという話が出ています。試合中に動くレベルで全パターンを用意しようとすると、やっぱりガウンですから、動きが作れなくなってしまうんですね。ただ、入場だけで使うのであれば、胴体一体化のパーツを作ってしまえばいいわけですから、できるんじゃないかと。そういう構想はあるのですが、やらないといけないことがほかにもたくさんあるので。
――
ユーザーさんにたくさん遊んでもらって、末永く遊んでもらえれば追加で入れたりもできるかもしれませんからね。
松本
どんどんアイディアは湧いてきますからね、これをやらなきゃあれをやらなきゃ、って。
小林
3Dじゃないので甲冑なんかは、けっこう大変なんですよね……(笑)。
松本
でも、3Dじゃないからこその難しさみたいな部分も含めて『ファイプロ』だと思うんですよ。これは逃げで言っているのではないのですが、変にちゃんとできてしまうと、それはそれでちょっと違うな、と。2Dの全盛期に作られたゲームだからこそ、そこは捨ててはいけないこだわりだと思います。入場シーンも1回は見てほしい、じゃなくてスキップさせないような作りにしないといけないんですよ。……あれ、静かになっちゃったな。マズイこと言いました?(笑)
一同
(笑)。
小林
いやいや、がんばります。
松本
売れれば何とでもなりますからね。

小林氏が語る『ファイプロ ワールド』の注目点

――
では小林さんも、本作の見どころをお願いします。
小林
今回はSteamとPlayStation4で出ますよね。見た目はこれまでの『ファイプロ』と大きくは変わらないのですが、ハードが前作までとはそれなりに違うので、プログラムが全部変わっているんですよ。
――
そのお話を聞いたときはすごく驚きました。
小林
全部イチから作り直し、やり直しだったので、そこはプログラマーたちが苦労してがんばっている部分ですね。そのおかげでというか、これまでの『ファイプロ』になかった新しい要素もいくつか入っているんですよ。このあたりはオフレコでしたっけ?
松本
……あ、すいませんいまソーセージ食ってて……。何の話でしたっけ?
一同
(笑)。
小林
『ファイプロ』の新しい動きについてですね。
松本
ダッシュリングインとかロープに逃げる動きとか、チョップの打ち合いなんかの打撃応酬については公開されているので大丈夫ですよ。
小林
あとはいま作っている、開発現場で惨劇になっているやつとか。
松本
血痕演出ですね。それは前のプレゼンのときにちょっと話したぐらいですね。
小林
その血痕演出がある程度実装できたのですが、血が出すぎて大惨劇になったんですよ。
一同
(笑)。
――
グレート・ムタ戦の馳浩状態ですね(笑)。
小林
あとは先ほど田村も言いましたけど、会場も新しくなりましたから。リングの横や花道だけでなくステージでも場外乱闘を楽しんでいただけますね。
――
客席で戦ったりもできるのでしょうか?
小林
客席にはまだ入れないですね。
松本
それいま僕が一番やりたいことですよ! せっかく観客もレスラーパーツで作ったんですから、やっぱりぶん投げたいですよね。
小林
それはちょっと予算が……(笑)。
松本
いくらぐらいでしたっけ、観客投げにかかる費用は?
小林
1億円ぐらいかなぁ。
一同
(笑)。
――
プロレス会場でも観客が投げられるのはなかなか見ないですけどね(笑)。
松本
昔、福澤朗さんがやっていた“プロレスニュース”で、スタン・ハンセンが入場するときに近づいていった一般人がラリアットされて1回転した場面が放送されたんですよ(笑)。
一同
(笑)。
松本
それを見てから、「これを『ファイプロ』でもやってくれねぇかな」って。絶対にやってほしいと思っているんですよ。
小林
そこまでできるかはわかりませんが、場外でいろいろなことができるようにしていきたいですね。あと、じつは音楽も全部変えました。これが格好いいんですよ。
松本
今回のはいいですね。
小林
数は少ないんですけど、CDにしていつも聞いていたいぐらいのクオリティーですね。ファンの皆さんにもぜひ聴いていただきたい。
松本
サントラ作りましょう、サントラ。
小林
おなじみの『ファイプロ』のテーマも格好よくなっていて、試合中のBGMもいま風になっていますので、そのあたりも楽しみにしていただけたらと思います。

ユーザーの皆様へメッセージ

――
初のオンライン要素に進化したグラフィック、さらにイチから作り上げたプログラム、一新されたBGMと、見どころは十分ありますね。
松本
本当に、語り尽くせませんね。もっとお酒が入らないと(笑)。
田村
僕の立場的には迂闊なことを言って「じゃあよろしく」って言われると自分が困る立場なので(笑)。
――
(笑)。では最後に、新たな『ファイプロ』を楽しみに待っているファンに向けて、メッセージをお願いします。
田村
12年ぶりの『ファイプロ』、先ほどもお話ししたように、僕にとっては9作で止まっていた『ファイプロ』の記念すべき10作目でもあります。じつは皆さん以上に僕が「待っていました!」みたいなところもあって、作る側も本当に待っていた作品です。皆さんにこの気持ちを共有していただきながら楽しんでいただいて、少しでも多くの方に広めていただきたいですね。
小林
本当に12年ぶり、長かったですね。今回の『ファイプロ ワールド』の売り上げが少しでも上がれば、先ほど話題に上がっていたガウンパーツなどの夢のプランも現実味を帯びてくると思います。なので、ぜひ買って、遊んでいただいて、ご意見をスパイク・チュンソフトのほうにお送りいただければと。まだまだ『ファイプロ』は旅の途中ですから。
松本
いいですね、“旅の途中”。やっぱり今回は12年待っていてくれたファンと僕らがいっしょに作り上げていくつもりなので、ユーザーさんにもぜひ参加してほしいと思います。新しい『ファイプロ』、最高の『ファイプロ』を作るために協力してください。
――
ただ待っているだけではなく、ユーザーに参加してほしい、と。
松本
どんと来い、ですね。「やれんのか!」ですよ(笑)。
――
いい締めです(笑)。ありがとうございました。

取材:中野のぶるちゃん GIRS 婆 BAR
TEL:03-3388-7120(受付時間:pm7:00~0:00迄)
営業時間 : pm7:00~0:00迄

住所:東京都中野区中野5丁目46-4 慶NAKANOビル B101
営業日 : 火曜日~土曜日(祝日も営業)
URL : http://victory-inc.co.jp/bullchan/

松本Dの 酒だ! トークだ! ファイプロだ!!

『FIRE PRO WRESTLING WORLD』(『ファイプロW』)ディレクターの松本朋幸が、
『ファイプロ』好きなゲストと酒を飲みながら、『ファイプロ』談義をする当コーナー。
第2試合は、『ファイプロ』が好きなゲームクリエイターを代表して、スクウェア・エニックスの時田貴司氏と、カプコンの野中大三氏が参戦!
『ファイプロ』の思い出からプロレス愛まで、三者のこだわりをとことん語り尽くす!

【写真左】
松本朋幸(まつもと ともゆき)
総監督
『ファイプロ』を作りたくてゲーム業界に飛び込み、『ファイプロG』にてシナリオ、企画を担当。その後、ワンダースワン版や、他のプロレスゲーム開発に携わる。自身の看板タイトルである『喧嘩番長』では、『ファイプロ』愛をいかんなく発揮。

【写真中】
時田貴司(ときた たかし)
スクウェア・エニックス 第8ディビジョン シニア・マネージャー/プロデューサー
1985年にスクウェア(当時。現スクウェア・エニックス)に入社。『ファイナルファンタジー』シリーズや『ライブ・ア・ライブ』、『半熟英雄』シリーズなどさまざまな人気タイトルを手掛ける。
最新作は、
『半熟英雄 ああ、世界よ半熟なれ…!!』
http://www.jp.square-enix.com/hanjuku_hero/
(iOS/Android)
『ファイナルファンタジーレジェンズII 時空ノ水晶』
http://www.jp.square-enix.com/FFL2/jp/
(iOS/Android)。

【写真右】
野中大三(のなか だいぞう)
カプコン 第四開発部 プロデューサー
2011年にカプコンに入社。『戦国BASARA 真田幸村伝』や『ガイストクラッシャー』シリーズなどをプロデュースする。プロデューサーを務めた『めがみめぐり』http://www.capcom.co.jp/megami/(ニンテンドー3DS)では、ゲーム業界初の交通系ICカードとゲームの連動を実現させた。
最新作は、
『ロックマンクラシックコレクション2』
http://www.capcom.co.jp/RCC/2/

『ファイプロ』人生とプロレス人生

――
『ファイヤープロレスリング ワールド』(以下、『ファイプロ ワールド』)記念企画“酒だ! トークだ! ファイプロだ!!”第2回ですが、今回は『ファイプロ』好きゲーム業界人ということで、スクウェア・エニックスの時田さんとカプコンの野中さんにお越しいただきました。さっそくですが、おふたりの『ファイプロ』人生について簡単に教えてください。
時田
いちばん遊んでいたのはPCエンジンからスーパーファミコンの時代だったと思いますね。プロレス自体は小学生のときにちょっと見ていましたけど、じつは中学生ぐらいからだんだん見なくなっていたんです。でも『ファイプロ』を遊びだしてからまたテレビで試合を見るようになって、それがちょうど超世代軍とか闘魂三銃士が台頭してきたころだったんですよ。
――
『ファイプロ』でプロレス熱が再燃したんですね。
時田
そうなんですよ。それで会社の人間と毎月いろんな団体を見に行くようになりました。UWFインターナショナル対新日本プロレスの抗争があったときはとくにすごくて、僕が代表してチケットを買いに行ったんですけど、20枚ぐらい買っていましたね。営業の人もすごい勢いで「ありがとうございます!」って(笑)。『聖剣伝説』のデバッグで連日の徹夜だったんですけど、徹夜明けに買いに行っていたという(笑)。その後もライガーやジュニアにはまっていって、最終的に全身コスチュームを落札するに至る(※1)と(笑)。
※1:時田氏はライガーのマスクと全身スーツを着て東京ドームでプロレス観戦をしたこともある。
――
なかなかに濃いですね(笑)。では野中さんもお願いします。
野中
まずゲーム人生としてなんですけど、ファミリーコンピュータから始まって、僕はスーパーファミコンじゃなくてPCエンジンにいっちゃったんですよね。当時このハードはいいぞ、と思って。
時田
それはやっぱりエロがあるから?
野中
いやいや(笑)。アーケードのシューティングが出るのが魅力的だったんですよね。『R-TYPE』とか『ドラゴンスピリット』とか。それで、PCエンジンのソフトって全部で666本あるらしいんですけど、僕はいま333本持っていて、リリースされたソフトのちょうど半分を持っているんですね(笑)。当時いろいろと買いあさったなかで『ファイプロ』に出会って、僕はむしろ『ファイプロ』からプロレスにはまったんですよね。
――
それまではプロレスは見ていなかったんですか?
野中
テレビで放送はされていたけど、そこまではまってはいませんでしたね。でも『ファイプロ』を遊んで、おもしろいゲームだと思っていたら、どうやらモデルになった人がいるらしいぞ、となって。だんだんと「ああ、この選手はこの人で、ということは、こいつはあの選手か?」みたいに、答え合わせ的に実際のプロレスにもはまっていったんですよ。
松本
そういう入りかただったんですね。

野中氏が秘蔵の『ファイプロ』を持参!

野中
じつは今回『ファイプロ』のお話ができるということで、PCエンジンの『ファイプロ』を持ってきたんですよ。やっぱり思い入れがあるのはPCエンジンの『ファイプロ』なんですよね。
(野中氏は今回のために初代『ファイプロ』の『ファイヤープロレスリング コンビネーションタッグ』、『ファイヤープロレスリング 2nd BOUT』(以下、『ファイプロ 2nd』)、『ファイヤープロレスリング3 Legend Bout』、『ファイプロ女子 憧夢超女大戦 全女vsJWP』といったPCエンジンの『ファイプロ』作品を持参。さらにはグレート・ムタが表紙を飾る『ファイプロ』小冊子や攻略本なども持ってきており、対談メンバーも大いに盛り上がった)
時田
うわぁ、めちゃくちゃ懐かしいですね。
野中
当時は本当に相当遊びましたからね。『ファイプロ 3』でエディットが入って、やっぱりそこにはまったんですけど、ちなみに時田さんはリアル派とファンタジー派、どちらでした?
時田
僕はわりとリアル派でしたね。収録されていないレスラーを作ったり、〇〇年型ライガーとか、対誠心会館用のライガーを作ったりとか(笑)。
野中
さすがですね(笑)。僕もけっこう近くて、やっぱりリアル派なんですよ。しかも現実の再現だけでは飽き足らず、“もしもシリーズ”を始めたんですね。“もしも鶴田がバーリトゥードに参戦したら”、“もしもヒロ斎藤が180センチあったら”、“もしも蝶野の首が強ければ”みたいな(笑)。
松本
すごいですね(笑)。所属団体が違う選手のドリームマッチを『ファイプロ』で、というのはよくありますけど、もしもの方向がそもそも違うんですね。
野中
ドリームマッチをひたすらやって、一周した結果ここにたどり着きました。もうバーリトゥード鶴田は最高でしたよ。ハンマーパンチで倒して、腹ばいにして後ろに回って、引っこ抜いてのバックドロップでKOするという。
時田
理想の鶴田になるわけですね。
野中
そう、夢の鶴田がいるんですよ。
時田
当時は会社のみんなで対戦したりしていましたけど、若手でひとり色物路線のやつもいたんですよ。全身紫色にして、エヴァンゲリオン初号機を作ってきたりして、キレると絶叫からのチョークしかしてこないっていう(笑)。
野中
いいなあ(笑)。色物と言えば、萌え系の頭パーツとかもありましたよね。あと熊とか河童とか。
時田
しかも熊はリアル調のと、ぬいぐるみっぽいのとがあるんですよね。
松本
熊と河童は『ファイプロ ワールド』にもありますよ(笑)。

スクエニ伝説(?)の“タイガールール”

――
時田さんも野中さんの“もしもシリーズ”みたいに、変わった遊びかたはされていましたか?
時田
僕個人というより、当時の会社で流行っていたことなんですけど、休憩時間に『ファイプロ』を遊んでいると、やっぱりビクトリー武蔵が人気なんですよ。それで“ビクトリー武蔵決定戦”って言って、全員武蔵で戦って、優勝したやつ以外はその後武蔵を使ってはいけないという。
松本
封印なんですね(笑)。
時田
その後さらに“タイガールール”というのもできまして。
野中
全員タイガーマスクということですか?
時田
いや、タイガー・ジェット・シンに負けたらタイガー・ジェット・シンしか使っちゃいけない、っていう。
一同
(笑)。
野中
そっちのタイガーなんですか(笑)。
時田
それでタイガー・ジェット・シンを使っているあいだに、むしろ好きになっちゃう奴もいましたね(笑)。
松本
ジャーマンスープレックスを持っていたりして、何気に技はシブいんですよね。
時田
隠し技でタイガースープレックスなんかもありましたからね。
野中
あー隠し技! 懐かしいですね。あったあった。
時田
あと『ファイプロ』のエピソードと言えば、このあいだ家にあった昔の『ファイプロ』を小学2年生の息子に遊ばせてみたんですけど、場外乱闘がえらく気に入ったらしいんですよね。スマートフォンのゲームなんかだと時間制限のあるものも多いじゃないですか、でもいくらでも遊べるし、『ファイプロ』自体が自由じゃないですか。
野中
試合そっちのけで“20カウントのあいだにどこまで行けるか”みたいな遊びかたもしていましたもんね。「ここも歩けるんだ!」みたいな謎の発見があったり(笑)。
時田
もう大笑いしながら遊んでいるんですよ。「最高のゲームだ!」っていう感じで。プロレスって、いろいろなきっかけで見始めるじゃないですか、だから息子も早く会場に連れていきたいですね。
松本
やっぱり生の観戦はいいですからね、雰囲気が最高ですよね。

ゲームだからこそできるプロレス

――
『ファイプロ』のシステムなどで印象に残っているものはありますか?
時田
『スーパーファイヤープロレスリングX』ぐらいのころにクリティカルが実装されましたよね。当時会社で4人のバトルロイヤルをやって、僕はやっぱりライガーしか使わないんですけど、そのときの相手がヴォルク・ハンと藤原と高田で、代わる代わる腕ひしぎを決めてくるんですよ(笑)。もう僕は十字キーをひたすらこするんですけど、けっきょくボキっといっちゃうっていう。
野中
“クリティカル!”って出るんですよね。「うわ、やられた!」みたいな。でもクリティカルが出た後も戦えたりしましたよね。
松本
レフェリーにバレなければ大丈夫ですね(笑)。
時田
でも両腕がもう、ぶらーんってなっていて、見るからにもう戦えないんですよね(笑)。
野中
あとは息継ぎシステムとかありましたよね。
松本
自分のスタイルに合わない技を使いすぎると息が上がっちゃうっていうシステムですね。あれも人によって賛否が分かれていますけど、『ファイプロ ワールド』でも引き続き搭載しています。
野中
相手を場外に投げすぐに飛び技を出すんじゃなくて、一瞬の隙で呼吸を整えてからのラ・ケブラーダとかをよくやっていましたね。対人戦だと本当に、つねに息を整えているっていう。
時田
ずっとこう、あのポーズで立っているんですよね(笑)。システムというか、ストーリーもすごかったですよね。とくに『ファイヤープロレスリングSPECIAL』のストーリーは須田(剛一)さんのイズムが溢れすぎていて(笑)。最初はプロレスから始まって、U系とかにもいくんだけど、ラスボスはアメリカンプロレスの象徴たるリック・フレアーという。
野中
シュートスタイルじゃなくて王道プロレスがラスボスっていうのがすごくいいですよね。
松本
『ファイプロ』の話になるとほぼ必ずストーリーモードが話題になりますからね。あれはいいモードでした。
時田
やっぱりオールスター感がすごかったですよね。本当に、ゲームでしかできない可能性を感じたというか。
野中
当時は交流戦とかもありませんでしたからね。どの『ファイプロ』だったかちょっと記憶があいまいなんですけど、デモ試合もすごい凝っているときがあったんですよ。ふつうにビクトリー武蔵対ハリケーン力丸、とかじゃなくて、ニクソン・ステイシー対真田伸久とか、当時の旬だったカードが組まれていて。そこまでやるか、って思いましたね。

『ファイプロ』とは、RPGである

――
プロレスゲームの中でも『ファイプロ』がとくに好きな理由はなんでしょう?
時田
『ファイプロ』はですね、ロールプレイングに近いんですよ。「俺はこれがやりたい!」っていうのをそのまま体現できるんです。
松本
名言きましたね。「ファイプロはRPG」。いますぐツイートしたいぐらいですよ(笑)。
時田
昔は『ファイプロ』はシミュレーションゲームだって言っていたんですよ。状況をシミュレーションするということで。でもやっぱりレスラーとしての役割を演じるわけじゃないですか。
野中
勝てばいい、っていう常識を変えましたよね。いかに美しく勝つか、という視点が生まれた。スター・バイソンを使っても、いきなりウエスタンラリアットを出しちゃいけない。ちゃんと“ウィー!”をはさんでから出さないと、ってなるんですよね。
時田
だから観客のリアクションとかが入ったときもすごくおもしろくなりましたよね。会社でも勝つためだけに動く奴がいて、「お前はプロレスがわかってない」って説教したりしていましたよ(笑)。
野中
そうそう、ドロップキックを連発するファイター大和とかね。「そこはいちばん大事なところだろう!」ってキレ気味になっていました(笑)。
松本
いまの『ファイプロ ワールド』だとオンライン対戦ができるんですけど、まったく同じ論争がネットでもくり広げられていますね。勝ちに行く派と再現にこだわる派とで。
時田
こだわりすぎると負けちゃうんですよね。僕はだいたいそのパターンです(笑)。ガチゲーマーというか、負けたくない奴らはバイソンでずっと直角に走りながらウエスタンラリアットばっかり出すんですよね。
野中
やたらボディスラムを多用したりですよね。
時田
そういうゲームじゃないだろう、と。
野中
本当に、勝てばいいじゃなくて、なりきりを楽しむっていうのがたまらないですよね。

『ファイプロ』にリアルスポンサーシステム?

――
アーリーアクセス公開中の『ファイプロ ワールド』ですが、アップデートで本当に大きく進化していますよね。
松本
そうですね、リングエディット機能で自由にマットのデザインを変えられたり、入場も自分で好きなように動かせるようになったり、部位ごとにサイズを調整できるようにしたり、入場曲もMP3で自由に再生できたり、かなり進化していますよ。でもやっぱりいままでとのいちばんの違いはワークショップでエディットレスラーとかを共有できることですよね。
野中
職人さんが作ったレスラーを共有できるってすごいですよね。
時田
ユーザー間で完成しちゃいますもんね。
――
リングエディットで作成したデザインも共有できて、松本監督のアイコンを中央に据えたデザインなんかもアップロードされていましたね。
松本
ちょっと恥ずかしいですけど、すごくうれしいですよね(笑)。リングエディットも職人さんはすごくて、スポンサーのロゴなんかも再現しているんですよ。本当に白いマットからいろいろな時代のマットが再現されていたりして。
野中
すごいですね。いっそリアルスポンサーを募集してロゴを入れていったらいいんじゃないですか?
松本
それアリですね。
時田
スクエニから出しますよ。ダメだったらポケットマネーでも(笑)。
一同
(笑)。
――
時田さんは初代えべっさん(現在は菊タロー)のコスチュームにもスポンサーとしてロゴを出されていましたよね。
時田
『半熟英雄4』のときですね。でも本当に、『タイガー&バニー』みたいなスポンサーシステム(※2)があっても面白いですね。
※2:アニメ『タイガー&バニー』ではヒーローたちが企業とスポンサー契約を結んでいるという設定があり、コスチュームに実在企業のロゴが入っていた。
松本
確かにできるかもしれないですね(笑)。

アーリーアクセスのよさは“ライブ感”

――
スパイク・チュンソフトとしては『ファイプロ ワールド』が初のアーリーアクセスタイトルになりますが、実際にやってみた感想はいかがですか?
松本
やっぱりおもしろいですね。ユーザーの声を聞いてそれに応えるというゲーム作りは、本当に最高だと思いますよ。
野中
出した後に更新をしないよりもいいですよね。ユーザーさんも「これは直るんだよね」っていうのがわかったうえで意見を出してくれたりしますし。
時田
いまだとジャンルに関係なく、昔の名作から基本無料だけどすごいお金をかけて作ったものまで、いろいろあるじゃないですか。そのなかでみんなが自分の好きなものを選んでいくんだから、だったら最初から好きな人といっしょに作っているっていうのはいいですよね。ライブ感もあるし。
松本
ライブ感、まさにそれですね。“カミゴェ”なんかはまさにそうだと思うんですけど、1回実装予定の技リストが解析でバラされちゃったんですよ。「じゃあつぎはここから出てくるんでしょ」みたいな空気になっていたんですけど、じゃあ逆にリストにはないものを出してやろう、ということで。そういうリアルな裏のかき合いみたいなことができるのもおもしろいですね。
野中
技にはブームもありますしね。一時期猫も杓子もカッター系、とかありましたからね(笑)。
時田
シャイニング系がやたら流行ったときもありましたね。派生形がすごい大量に出る、みたいな。
――
アーリーアクセス初期はレスラー選択画面が重かったのも、いまではだいぶ改善されましたよね。あちらもユーザーの声を反映した結果でしょうか。
松本
もちろん開発側でもそのうち直さないとね、と話はしていたんですけど、UIの部分って後回しになりがちなんですよね。でもユーザーの声が大きいものから対応していこう、というのはやっぱりありました。
時田
作っている側は「後で直るから」という前提に思ってしまいますけど、その前提がなかったり頻繁に触ったりするとかなり気になる部分ですよね。
松本
あとはPCゲームなので、スペックの違いによっても変わってしまうんですよね。デバッグ用PCは高性能なのでサクサクなんですけど、5年前のノートPCだとすごく遅い、とか。そういう事情もあって早めに対応しよう、という流れになりました。
野中
PCはどれくらいのスペックまでは対応しようとしているんですか?
松本
7、8年前のノートPCでも動くようにしたい、とは言っていますね。
野中
かなりフォローするんですね。
松本
『ファイプロ』を遊んでくれる人って、30代の方もいらっしゃいますけど、やっぱり40代50代の方が多いんですよね。なので、最新スペックじゃないと動かないという風にはならないようにしたいです。
――
ちなみに、アーリーアクセスはいつごろまでというスケジュールは出ているのでしょうか?
松本
まだ明確な時期は言えませんけど、やっぱり会社的な話としていついつまで、というのはありますね。本当に永遠にアーリーアクセスをやりたいんですけど(笑)。
一同
(笑)。
松本
この前もロジックの優先動作を増やしたら案の定いろいろバグが出てしまったんですけど、時間が限られていることもあるので「何かあったらまずいから」みたいなことは言っていられないんですよ。
時田
そこを包み隠さずにユーザーとやり取りするのがいいですよね。いまの時代は隠しごとをなくして、ちゃんと声に応えていくのが大事だと思うんですよ。
――
優先動作で確かにバグはありましたけど、それこそ本日出たような“ウィー!”からのラリアットがロジックで出せるようになって、ユーザーからの反応もいいですよね。
松本
バグが出るとすごい勢いでいろいろ言われるんですけど、「今週アップデートを出します」っていう告知を出すと“いいね”がいっぱいつくんですよね(笑)。
野中
すごいツンデレですね(笑)。

詳細は言えない、でも間違いなくすごい今後の予定

――
ところで、今回の記事で何か新情報が出ないかと期待しているユーザーも多いと思いますが、何かあったりしませんか?
松本
いまこの場で載せられる情報はないんですよ、すいません。ただ、これはオフレコなんですけど●●との××ですとか、■■や▲▲の実装は予定しているというか、やります。
野中
えー! それはすごいじゃないですか。全部載せられなさそうですけど(笑)。
時田
すごいですね、伏せ字しかないんじゃないですか?(笑)
松本
ユーザーのみなさんにはまだ内容までは明かせないのですが、間違いなく喜んでいただける施策を、最初のころから言っている大きな“隠し玉”を用意していますので、そこはぜひ期待して待っていてほしいですね。
――
“隠し玉”の内容は初めて聞きましたが、正直驚きました。
松本
そもそも『ファイプロ』を新しく出すという今回の企画自体、無理やり立ち上げたところがあるんですよ。会社としても利益が見込めないものを作らせるわけにはいかないので。そうなると、今回が最後になったとしてもおかしくはない。だからこそ、『ファイプロ』の究極形を見せたいですね。
野中
泣けますね……。
時田
でもまだ発表はできないっていう。
一同
(笑)。
松本
あとこれはあまり『ファイプロ』が、という話ではないのですが、高山善廣選手を支援するTAKAYAMANIAの関係者と先日お会いして、うちの社長である櫻井の意向もあって何らかの支援を検討しています。2017年はいろいろな選手が大きな怪我をされましたけど、高山さんは群を抜いてきつい状況じゃないですか。
時田
プロレス業界にもものすごく貢献されてきましたしね。ほとんど何でもやってきましたよね。
松本
本当に氷河期を支えてきた方なので、少しでも支援をしたいと思っています。
野中
僕個人としてはやっぱり信じていますよ、帰ってくるって。
時田
僕もそう思いますね。
松本
プロレスラーは怪我の治りがすごいという逸話も昔からありますし、帝王ですからね。僕も信じています。
――
それでは松本監督、そろそろ時間となりましたので、締めとなるお言葉をお願いします。
松本
やっぱり『ファイプロ』は30年近い歴史があるビッグタイトルなので、ユーザーさんの期待値もそれだけ高いんですよね。最初にサンフランシスコのGDCで『ファイプロ ワールド』を発表したときにも話したんですけど、増田(雅人)さんが作ったファイプロを汚さないような作品を作ります。本当にこの発言があまり注目されていないので、もうちょっとクローズアップしてほしいんですけど(笑)。
一同
(笑)。
松本
増田さんや須田さんなど、いろいろなクリエイターが関わって続いてきた『ファイプロ』というタイトル。僕には本当に荷が重いんですけど、その歴史を伝承できるように、神格化された『ファイプロ』を崩さずに、「これは進化した『ファイプロ』だ」とユーザーさんに思っていただけるようなものにしていきたいと思っています。先ほどオフレコでお話しした今後の展開でもそうなんですけど、『ファイプロ』らしくありつつ進化していく、というのを大事にしていきたいです。
――
期待しています! 本日は皆さんありがとうございました!
一同
ありがとうございました!

取材先:麺ジャラスK(メンジャラスケー)
TEL:03-3415-5333
定休日:火曜日(店主の都合で変更あり)

住所:東京都世田谷区喜多見6-18-7 ビスタ成城 1F
営業時間:12時~14時30分(食材がなくなり次第終了)/18時~23時(店主の都合で変更あり)
麺ジャラスK店長 twitter:https://twitter.com/orenooudou

PC版『FIRE PRO WRESTRING WORLD 動作確認版』では、お客様のPC環境での動作確認をすることができます。
ソフトウェアをダウンロードして利用するには、下記の仕様許諾契約に同意する必要があります。

※動作確認版での動作と、製品版での動作が必ずしも一致するものではございません。あらかじめご了承ください。
※製品版は、Steamのアプリケーションになります。

購入はこちらをご参照ください。

■PC版『FIRE PRO WRESTRING WORLD 動作確認版』概要

  • ・固定の設定で、ノーマルマッチを1分間プレイできます。
  • ・コントローラーでの挙動確認用に1Pが含まれています。
  • ・「ALT」+「ENTER(Return)」キーで、フルスクリーン、ウィンドウの切り替えの確認が行えます。

※製品版では、Steamの「BigPicture」を使用しています。ご使用のゲームコントローラーのキーアサインが、製品版とは異なる可能性があります。

FIRE PRO WRESTLING WORLD 動作確認版使用許諾契約書

 本契約は「FIRE PRO WRESTLING WORLD 動作確認版」の使用を許諾するための条件を記載したものです。
以下に記載する条件(以下「本契約」といいます)に同意の上、本ソフトウェアのインストールを開始してください。

第1条 ソフトウェア使用許諾
1.
このソフトウェア(以下「本ソフトウェア」といいます)に係る著作権その他一切の知的財産権は、株式会社スパイク・チュンソフト(以下「当社」といいます)に帰属します。
2.
当社は、お客様が本契約に同意し、本契約に定める条項を遵守することを条件として、お客様に対し、本ソフトウェアを日本国内において使用する非独占的かつ再許諾不能の権利を許諾します。
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1.
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・本ソフトウェアを他者に貸与し又は再使用許諾等を行うこと。
第3条 免責・不保証
1.
本ソフトウェアは、個々の通信環境、使用機器環境に依存する度合いが高く、いかなる環境下でも利用可能なものではありません。従って、当社は本ソフトウェアがお客様の下におけるいかなる環境下でも利用可能であることにつき保証いたしません。また、当社は事前の予告を行うことなく本ソフトウェアの仕様を変更することがあります。
2.
本ソフトウェアは、お客様のパソコンがSteam版「FIRE PRO WRESTLING WORLD」(以下「本ゲーム」といいます)の動作環境を満たすかどうかをお客様が調べるために提供されるものであり、その他のいかなる目的でも提供されるものではありません。また、当社は、お客様による本ソフトウェアの利用の結果の如何にかかわらず、本ゲームが正常に動作することにいかなる保証も致しません。
3.
本ソフトウェアは、現状有姿にて無償でお客様に提供されるものであり、その正確性・完全性・有用性・信頼性等に関していかなる保証も致しません。
4.
当社は、お客様が本ソフトウェアを使用した結果生じたいかなる損害についても責任を負いません。
第4条 有効期間
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本契約の有効期間は、お客様が本契約に同意の上、本ソフトウェアをインストールした時点から、本契約が解除されるまでとします。
2.
お客様が本契約のいずれかの条項に違反した場合又は当社の著作権その他の知的財産権を侵害した場合には、当社は直ちに本契約を解除できるものとします。
3.
本契約が解除された場合、お客様は速やかに本ソフトウェアをハードウェアから削除するものとします。
第5条 準拠法等
1.
本契約の準拠法は日本法とします。
2.
本契約の一部が、日本法の適用により無効とされても、他の部分はこれに反しない範囲で効力を有するものとします。
3.
本契約に関してお客様と当社との間で紛争が生じた場合、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とします。
第6条 その他
1.
当社は、その理由を問わず、本契約をいつでも任意に変更することができ、お客様はこれに同意するものとします。
2.
当社が別途定める場合を除き、本契約の変更は、当社サイト上に掲載する方法によってお客様に通知します。いかなる変更も、当社サイト上に掲示した時点で直ちに有効になります。

2017年8月●日 制定